LNG火力発電における水素混焼については、すでに10%混焼の燃焼器の開発、実証運転が完了しており、水素100%専焼に向けて2025年度に燃焼機の開発完了を目指している。
これを踏まえ、今回のコスト検証における水素発電のモデルプラントとしては、10%混焼と専焼を想定する。水素発電の資本費や運転維持費等の諸元はLNG火力と同一と仮定して、水素燃焼器や、発電プラント内に置かれる水素貯蔵タンク等の水素供給設備の金額は加味しない。
また、石炭火力発電におけるアンモニア混焼については、すでに20%混焼の実証運転が完了しており、2030年代半ばに50%混焼の商用運転、2040年代後半にアンモニア専焼運転を目指している。
これを踏まえ、今回のコスト検証におけるアンモニア発電のモデルプラントとしては、20%混焼・50%混焼と専焼を想定する。アンモニア発電20%混焼・50%混焼の資本費や運転維持費等の諸元は、超々臨界圧(USC)石炭火力と同一と仮定する。他方、アンモニア発電専焼については、LNGガスタービン燃焼器の転換による実現を目指しているため、その資本費や運転維持費等の諸元はLNG火力と同一とする。
燃料の製造・輸入については、ブルー水素とブルーアンモニアについては、オーストラリアや中東から輸入することを想定し、グリーン水素とグリーンアンモニアについては、国内製造することを想定する。
アンモニア(国産・輸入)の将来コストについては、ブルームバーグNEFの「Japan’s Costly Ammonia Coal Co-Firing Strategy」を基に算定する。
海外ブルー水素については、前回(2021年)の発電コスト検証と同様に、IEAの水素レポート「The Future of Hydrogen」(2019)を参考に将来価格を算出する。
国産グリーン水素については、併設する再エネ発電設備から電気を調達して水素を製造することを想定し、その電源となる事業用太陽光及び風力発電については、今回の発電コスト検証WGにおいて算定されたLCOE(2040年運開)を参照する。
水電解措置の電解効率については、IEAの「Towards hydrogen definitions based on their emissions intensity(2023.4)」において現在の電解効率として掲載されている、50kWh/kg-H2を設定する。また、水電解装置の資本費等については、GI基金において2030年の設備コスト目標値としている、アルカリ型:6.5万円/kWとPEM型:5.2万円/kWを設定する。
大気中CO2の直接回収技術「DAC」、日本での産業育成に向けた課題と施策の方向性
火力発電の動向――供給力の確保と脱炭素化の両立はどうなるのか
加速する再エネの大量導入、将来の電力系統の運用容量に与える影響と課題Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10