次に、国による補助事業の情報や事業者へのヒアリングを基に、家庭用蓄電システムのコスト構造を分析した。現時点、家庭用蓄電システムは屋根置き太陽光発電の自家消費最大化による電気代削減を目的として設置されるケースが多い。
2023年度の家庭用蓄電システムのコストは11.1万円/kWhであり、前年と比べ若干低減した。また、事業者ヒアリングより、補助事業以外で家庭用蓄電システムを導入する場合、設備費は15〜20万円/kWh、工事費は2万円/kWh程度が標準的な水準となることが分かった。
先述の図4のように、受注後に個別生産となる系統用大規模蓄電システムでは資源価格の高騰や為替影響を大きく受けるのに対し、家庭用蓄電システムは在庫製品を扱うケースがほとんどであり容量も小規模なため、これらの影響は比較的小さい。
次に、国による補助事業の情報や事業者へのヒアリングを基に、業務・産業用蓄電システムのコスト構造を分析した。現時点、業務・産業用蓄電システムの多くは、工場等のピークカット(デマンド抑制)、太陽光発電自家消費の最大化を目的に導入されている。
2023年度の業務・産業用蓄電システムのコストは9.2万円/kWhであり、前年と比べ2割程度低減したものの、電池部分の価格7.1万円/kWhは前年比で2割程度上昇している。これは系統用蓄電システムと同様に、資源価格の高騰や円安の影響と考えられる。
なお、業務・産業用のシステム価格(kWh単価)は容量規模による違いが大きく、容量区分が100kWh未満と1,000kWh以上のものでは、2倍以上の価格差が生じている。また、所轄消防により消防法への対応が異なり、消火・防火設備等により開発コストが高くなる場合があることが指摘されている。
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