世界的に変動性再エネ電源の増加やレジリエンス向上のニーズが高まっており、安価に、より長時間(数日以上)、電力を貯蔵する技術の必要性が増している。また、リチウムイオン電池(LIB)はリチウムなどの希少資源に依存しているため、資源調達リスクの低い蓄電システムが求められている。
そこで資源エネルギー庁では、世界的に技術開発や実証試験が進められている新たな「長期エネルギー貯蔵技術(LDES)」について、整理を行った。
LDESは、主に電気化学式、機械式、蓄熱式、化学式に分類され、電気化学式の代表格であるLIBと比較すると、低コストでの長時間kWhの供出が可能、慣性力提供が可能、耐用年数が長い、資源制約が小さい、火災のリスクが低い等の長所を持つ技術が多い。
表5の「CAES」は圧縮空気貯蔵システム、「LAES」は液化空気貯蔵システム、「PTES」はヒートポンプ技術を使った蓄熱蓄電システム、「PtGtP」は電気を水素ガス等に変換し、当該ガスを電気に変換するシステムである。このうちCAESは、カナダで既に商業運転中の設備がある。
LDESは放電時間が長いことが最大の特徴であるが、これにより、放電時間が長くなるほどkWh当たりの資本費(CAPEX)が低下することになる。LIBも2030年には資本費が大きく低下すると想定されているが、長時間放電で比較すると、LDESの方が資本費が低くなる傾向は変わらないと考えられている。
長期脱炭素電源オークションでは、揚水発電と蓄電池を原則技術中立的に扱ってきたが、第2回入札(2025年1月)では、長時間の運転継続ができる蓄電リソースの導入を促進する観点から、募集上限を「運転継続時間が3時間以上6時間未満」の案件と、「運転継続時間が6時間以上」の案件に分けて設定することとした。
今後は他のLDESについても、諸外国の技術動向を注視しながら、技術中立的に導入を促進することが期待される。
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