水素発電については、すでにLNGとの10%混焼(熱量ベース)の実証運転が行われ、水素専焼燃焼機の2025年度開発完了を目指している。こうした現状を踏まえ、今回の検証における水素発電のモデルプラントとしては、10%混焼と専焼の2ケースを想定することとした。
現時点、商用ベースで運転している水素発電プラントは存在しないため、水素燃焼器や、発電プラント内に置かれる水素貯蔵タンク等の水素供給設備のコストは考慮せず、これらも含む資本費や運転維持費等の諸元はLNG火力と同一と仮定した。2040年モデルプラントの想定値は、設備容量60万kW、設備利用率70%、発電効率57.0%、所内率2.2%、稼働年数40年、としている。
国産グリーン水素を用いたLNG混焼(水素10%)・水素専焼発電のコストの内訳は図5の通りである。
水素の由来については、国産または海外からの輸入、グリーン(再エネ電力による水電解)またはブルー(天然ガス+CCS)に分類される。今回のコスト検証では、海外ブルー水素については、IEAの水素レポート「The Future of Hydrogen」を元に算出し、国産グリーン水素については、事業用太陽光と風力発電を想定することとした。
冒頭の図1は輸入ブルー水素29.9円/kWhの内訳を、図5は国産グリーン水素28.8円/kWh(STEPS)の内訳を描いたものである。(表3の青枠と緑枠部分)
一定の前提条件の元では、輸入ブルー水素よりも国産グリーン水素のほうが低コストであるという試算結果となった。
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