再エネ賦課金は、小売電気事業者が販売する電力量のみに課されるものである。そこで、まずは過去実績や電力広域的運営推進機関による需要想定(使用端需要電力量)を元に、「販売電力量」を推計する。
図5のように、近年は省エネの進展等により、使用端需要電力量は減少傾向にあったが、2024年度以降は再び増加傾向に転じている。需要電力量(≒販売電力量)の増加は、賦課金単価を抑制する方向に作用する。
また、賦課金単価の算定にあたっては、再エネ賦課金の減免制度が適用される適格事業者の減免申請電力量を控除する必要がある。2024年度の再エネ賦課金減免制度の認定件数は、855件・1,441事業所であり、認定申請に係る電力量は426億kWhとなっている。この減免制度は運用の厳格化により、今後は減免申請量が減少すると予想される。
先述の図5に、賦課金単価算定用の『販売電力量』の推移を重ねたものが図6である。この13年間で『販売電力量』のほうが需要電力量よりも減少幅が大きいことが分かる。『販売電力量』の減少は、賦課金単価を押し上げる方向に作用する。
仮に、2025年度の『販売電力量』がFIT開始初期のように8,600億kWh程度として算定するならば、賦課金単価は3.56円/kWh程度であったと試算できる。
以上のように、賦課金単価は一定の見通しに基づき事前に算定するものであり、特に市場価格の予想は困難であると考えられる。このため、結果的にズレが生じることはやむを得ないことであり、これを翌年度に調整することで対応している。国は、賦課金の仕組みについて、一層の普及啓発を図ることが望まれる。
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