電力における非化石証書やグリーン電力証書、都市ガスにおけるクリーンガス証書制度などのように、製品分野ごとにさまざまなタイプの環境価値認証・移転手法があり、液体燃料に対してどのような手法を用いることが適切であるか、検討が行われた。
例えばグリーン電力証書では、再エネで発電したという「属性」(由来)を電気そのものから切り離して証書化し、その証書を購入した者は自分が使用する別の電気に組み合わせることにより、「再エネ電気を使用している」と主張することが可能となる。また、再エネ電力にはCO2ゼロエミ価値(CO2排出削減効果)があるため、CO2排出削減を報告することも可能となる。
これを液体燃料(次世代燃料)に当てはめると、水素やバイオマスといった「属性」や「CO2排出削減効果」を燃料から切り離し、取引・移転された属性やCO2排出削減効果は移転先の燃料の使用者が主張・報告することが可能となる。
出典:脱炭素燃料政策小委員会
ただし、サプライチェーンにおける環境価値のトラッキング管理の違い等により、環境価値認証・移転手法には複数のタイプがある。表1の上側①や②では厳格性が高く、表の下側に行くほど、自由度・柔軟性が高い手法であると言える。なお表1の⑥の「オフセット」は、比較のために資源エネルギー庁にて追加した類型であり、ISO22095における加工・流通過程の管理モデルには含まれない概念である。
なお結論から言えば、次世代燃料では「ブックアンドクレーム」方式の「証書」手法を採用することとしたことを念頭に、これ以降を読み進めていただきたい。ブックアンドクレーム方式では、燃料から属性を完全に分離し、サプライチェーンを超えて環境価値を移転可能である。
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