広域機関では、一定の供給信頼度を維持するため、確率論に基づくEUE(目標停電量[kWh/kW・年])を基準とした必要供給力を算定している。また、必要供給力を容量市場で確実に調達するため、「偶発的需給変動」及び「厳気象対応」に対応する必要量については、毎年、最新データを用いて見直すこととしている。
従来、夏季の厳気象対応分として2%(全国H3需要比)を確保していたが、春季・秋季も含めた厳気象発生リスクの増加を踏まえ、2025年度追加オークションでは夏季・冬季に4.5%、春季・秋季に3.9%を確保するよう変更し、これが目標調達量増加の最大の要因(+399万kW)となっている。
また、2022年度メインオークションにおいて目標停電量は0.048kWh/kW・年であったが、最新諸元を用いて算定した2025年度追加オークションにおける目標停電量は0.015kWh/kW・年となった。
なお、安定電源の計画停止については、「年間停止可能量1.9ヶ月」という想定値は変えていないものの、近年では春秋にも厳気象の発生が増えていることから、「追加設備量」がH3需要の1.5%から3.6%へと増加している。
これらの結果、2025年度追加オークションの目標調達量は2022年度メインオークションから849.5万kW(4.8%)増加し、1億8,679万kWとなった。
これまで容量市場の供給信頼度評価では、地域間連系線の「年間運用容量(図2の赤線)」を採用してきたが、今後は30分毎に細分化し、拡大した運用容量(図2の紫線)を適用するよう変更している。
また、「中部関西間連系線(中部向き)」と「中国九州間連系線(九州向き)」では、新たな負荷制限の織り込みを適用することにより、2022年度メインオークション当時と比べ、連系線の運用容量が拡大している。
これら2つの運用容量拡大策により、供給力の広域融通が可能な範囲が拡がり、特に九州エリアでは年間EUEが大きく減少する(改善する)効果が得られている。これが先述の表2で、「必要予備率」の減少として現れている。
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