一般的に脱炭素電力等のクリーンエネルギーの供給は地域偏在性があるため、GX2040ビジョンでは、「エネルギー供給に合わせた需要の集積」という大胆な発想が必要と記された。
また、データセキュリティ確保や低遅延性の観点のほか、近年拡大が続くデジタル分野のサービス収支赤字(図2)の緩和等の観点から、データセンターの国内立地は重要である。
GX産業立地WGではこれらを踏まえ、新たな産業用地整備の類型として、「①コンビナート等再生型(GX新事業創出)」、「②データセンター集積型」、「③脱炭素電源活用型(GX産業団地等)」の3つを掲げている。
GX戦略地域の選定に際しては、1)インフラ、2)競争力強化、3)脱炭素、4)地域との連携等の観点から多面的に評価した上で、有望な地域を選定し、GX経済移行債等による支援を実施する。
今後、新たなDC集積拠点の指定に向けて、自治体及び事業者による事業案を募集し、GX産業立地WGにおける選考を通じて「DC集積型GX戦略地域」として選定を行う。またこれと連動し、必要に応じて国家戦略特区における区域の追加指定も検討する予定としている。
大量の電力を消費するデータセンター(DC)は、生成AIニーズの急増に伴い、今後さらに電力需要を押し上げることが予想されるため、効率的な立地を促すことが重要である。また、電力インフラに加えて、通信ネットワークの地中化・冗長性確保の可能性や工業用水等の確保といった、DC運用に必要なインフラの整備も併せて求められる。
また現在、DCの8割以上が東京圏・大阪圏に集中しており、レジリエンスの観点からも一定程度地域に分散して立地することが望ましい。
これらを踏まえ、WG及び懇談会では、「ワット・ビット連携官民懇談会取りまとめ1.0」で整理したインフラ整備の観点や、競争力強化、脱炭素化への貢献等を中心に、表2の選定要件案が示された。
取りまとめ1.0では、「DCの立地にあたっては(中略)、持続可能な形で地域社会との共生が不可欠である」との基本方針を示しているが、近年、地域社会から(特に住宅地近傍の場合)、DC新設に対する懸念の声や反対活動が起こる事例も生じている。
これまでも、DC事業者が立地自治体と包括連携協定を結び、立地自治体のデジタル化や教育振興に貢献しながら地域と共生する優良事例も存在するが、DC業界として主体的に地域共生策の在り方について検討することが求められている。
なお、表2の「地域との共生」は、事業者が主語であるような書きぶりとなっているが、GX産業立地WGでは明確に、自治体側のコミットメントも重要と指摘している。
今後は、自治体からの事前相談で得た情報等の精査を通じて各地の現状を把握しながら、表2の選定要件に基づく評価方法の具体化を進め、GX実行会議にてDC集積拠点の選定要件を決定する予定としている。
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