2025年6月末時点、系統用蓄電池(高圧以上)の系統アクセス手続きの状況は、「接続検討」は約14,300万kW、「契約申込み」は約1,800万kW、「連系済み」は約25万kWであり、全体としては急速に増加している。(※エリア別に見れば、北海道・東京の「接続検討」は3月末比で減少)
これを件数で見ると、2024年度に一般送配電事業者等が受付を行った500kW以上の発電等設備の接続検討14,276件のうち、系統用蓄電池は9,544件であった。
接続検討が増加すると、一般送配電事業者による受付等に時間を要するため、系統用蓄電池に限らず全ての発電等設備において系統アクセス手続きが遅れ、系統連系まで時間を要することになる。結果として、再エネ電源の導入を減速させるブレーキの一つとなっている。
一般送配電事業者によれば、一部の系統用蓄電池事業者からは、防災公園などの公共的な土地、既に別の建物が建設中の土地や住居以外が建設できない土地など、事実上、事業の実施が不可能と思われる土地での接続検討申込が行われている。
接続検討が急増している現状を踏まえれば、このような事業確度が著しく低い案件については、接続検討申込み時に、何らかのスクリーニングを行うことが適切と考えられる。ただし、接続検討申込みの時点で、土地の使用権原等があることを要件として求めることは、事業開発のハードルを非常に高めることとなってしまう。
よって、接続検討申込者には、少なくとも事業実施が不可能な土地ではないことの確認を促す観点から、事業用地に関する調査結果や登記簿等の提出を求めることとした。当然ながら、この時点では登記簿が申込者の名義になっている必要はない。
また一般送配電事業者によれば、一部の系統用蓄電池事業者は同一の一般送配電事業者に対して、短期間に100件以上の接続検討申込みを行っている。一事業者が事実上、他の事業者(蓄電池・再エネ等)を締め出すことは適切ではない。
よってこの対策として、一事業者の接続検討申込みに対して、一般送配電事業者が行う接続検討(図9の赤線で示す範囲)の期間における案件数に上限を設定することとした。一事業者が接続検討数の上限を超える申込みを行った場合、案件の優先順位が高いものから、上限の範囲内で接続検討を実施する。脱法行為を防ぐため、「一事業者」の定義について工夫が求められる。
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