一次調整力は、需給調整市場における最も高速な商品であり、周波数変動のうち数秒から数分程度の極短周期成分に対応するものとされ、従来は主に火力発電機のガバナフリー機能が対応してきた。
一次調整力は自端制御であり、落札した全てのリソースがメリットオーダーとは無関係に応動するため、需給調整市場に基づくkWh精算を行わず、託送契約におけるインバランス単価の確報値を用いて精算することとしている。
先述のとおり、需給調整市場において機器個別計測を行うためには、第2世代スマメの設置が必要となるが、一次調整力はkWh精算を目的とした計量データの連携が不要であるため、kWh精算の観点では第2世代スマメの設置を待つ必要はなく、IoTルートの構築は不要と言える。
次に、アセスメントII(ΔkWの応動評価)であるが、一般送配電事業者は現行の受電点計測リソースについて、調整力事業者から提出された供出電力(kW)の実績データの妥当性を確認するため、託送計量器で得た電力量(kWh)と突き合わせている。
今後の機器点計測リソースのアセスメントIIにおいても、妥当性確認は必要であり、突き合わせるべきデータとしては、インバランス算定等に用いる計量データが適切と考えられる。このインバランス算定等に用いる計量データとは、低圧の機器点・高圧の機器点のいずれも、機器点に設置された特例計量器等からIoTルートを活用した「特定計量システム」を通じて一般送配電事業者が収集するものである。
よって、アセスメントIIを実施する観点からは、機器点で一次調整力に参入する場合においても、実質的に第2世代スマメの設置・IoTルートの構築が必要であると言える。つまり、機器個別計測リソースについては、一次調整力のみの先行導入ではなく、第2世代スマメが設置され次第、全商品において需給調整市場に参入可能となる。
第2世代スマメの設置スケジュールは、低圧用が2025年度の中頃から、高圧・特高用は2026年度後半から順次設置されていく予定である。また、スマメの設置スケジュールのほか、取引規程類の改定等を考慮すると、現時点での機器個別計測適用時期としては、低圧リソースが2026年度から、高圧リソース(1,000kW未満)は2027年度からが想定される。
なお、「機器点電圧が特別高圧」および「機器点容量が1,000kW以上」のリソースについては、新たな区分の設定や、託送システムの改修が必要になると考えられる。広域機関や資源エネルギー庁では、これらの機器個別計測のニーズや費用対効果を踏まえ、今後の検討を行う予定としている。
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