冒頭の図1のように、日本では複数のエリアで基幹系統の電圧上昇の傾向がみられる。電圧上昇の原因となる無効電力の発生状況について一般送配電事業者が調査したところ、ほぼ全てのエリアにおいて高圧系統から多くの無効電力が流入していることが判明した。高圧系統で生じた無効電力は特別高圧系統へ流出し、最終的には基幹系統に集まる。
高圧系統において多くの無効電力が生じている原因の一つは、高圧需要家が設置している「力率改善用コンデンサ(進相用コンデンサ:SC)」の容量等が過大であることが指摘されている。
系統の電圧上昇対策は、一般送配電事業者、発電事業者、需要家それぞれの取組の積み重ねが重要である。
まず一般送配電事業者が実施している対策としては、無効電力を消費する調整機器である「分路リアクトル(ShR)」の設置がある。ただしこれは1台あたり数億円の費用が掛かるほか、設備導入には一定の期間を要する対策である。
また、送電線自体も無効電力の発生源であるため、軽負荷時等の潮流が少ない時期はこれを軽減するために、ループ系統の2回線送電線の1回線運用停止や、無負荷充電回線の運用停止を実施している。この送電線運用停止は対策量が年々増加傾向にあり、現在では10エリア中6エリアがほぼ年間を通じて実施している。
ただし、この対策は流通設備の運用容量低下を招くものであるため、供給信頼度の低下や再エネ出力制御量の増加に繋がるおそれもある。
発電事業者における電圧上昇対策としては、大規模同期電源ではこれまでも一般送配電事業者からの指令により無効電力を消費する運転を実施するとともに、電圧上昇を抑制するために変圧器タップを変更している。小規模電源でも同様に、電圧上昇を抑制する運転について協議が進められている。
また、一部の揚水発電所では無効電力を調整する「調相運転」が可能であるが、調相運転中は発電や揚水ができない。近年では再エネ出力制御回避のため揚水の活用頻度が高まり、調相運転が制限される時間帯も増えている。
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