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Appleが新Macを発表? このご時世に?

» 2009年03月03日 13時32分 公開
[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 3月24日にiMacのイベントがあるという話題であちこちのブログが盛り上がっている。本当だろうか? この不況下で? スティーブ・ジョブズなしで?

 多くのサイトでこのイベントがうわさになっている。最初に誰がこの情報を入手したのか分からないが、わたしが最初にこの話を知ったのはWorld of Appleでだった。

 気になるのは、スティーブ・ジョブズがいない今、誰が出席するかだ。彼は6月30日まで療養休暇を取っている。先週のApple年次株主総会を欠席したということは、3月24日の新製品発表会にも出てこないだろう。経済情勢、そして予算がおそらく縮小していることを考えると、アナリスト、ブロガー、記者の参加も減ると考えていい。

 重要なのは、Appleのブランド力を持ってしても、情勢の変化に逆らうのは不可能だということだ。特にスティーブのいない今、Appleはどこで小さな発表さえビッグニュースにするほどの影響力を失ったのか?――Appleの幹部やマーケティング担当者は今このような疑問を抱いている。彼らがごう慢になり感受性が鈍っていなければの話だが(そんなことはないとわたしは信じている)。

 うわさは新しいデスクトップマシン――iMac、Mac mini、Mac Pro――に関するものだ。デスクトップのことなんて誰が気にしてるんだろう。NPDによると、米国の小売り向けデスクトップPCの売上高(MacとWindows PCを含む)は1月に前年同月から19.4%減少した。出荷台数で見れば10.9%の減少だ。デスクトップMacはWindows PCの3倍のペースでシェア(台数ベース)を落としている。さらにAppleのMacの売上高は今や、ノート型が大半を占めている。

 Appleが下降基調の製品カテゴリーで新製品発表イベントをするべき理由はあるのだろうか? しかも、スティーブが有名な「現実わい曲フィールド」を駆使して製品のメリットを売り込むことはないというのに。発表は誰がするのか? ワールドワイド製品マーケティング担当上級副社長のフィル・シラーだろうか?

 わたしはフィルが好きだ。愉快なキャラクターだし、優秀なセールスマンだ。真の信奉者でもある。スティーブがクールなら、フィルはクールじゃない。でも、彼は彼で素晴らしい。忠実であり、表から見える姿よりもずっとスマートだ。デスクトップマシンの売り上げ減と今の経済情勢を考えると、Appleが不況下で新Macを売るには、フィルよりもカリスマのある人物が必要だ。ここで言っておきたいのだが、フィルを批判しているわけではない。彼はわたしが好きなハイテク幹部の1人だ。友好的で本当に明るくて、ほとんど見た目通りの人物だ。「What you see is what you get」というやつだ。

 最初の疑問に戻ろう。Appleがなぜ今デスクトップ製品を発表するのかだ。もっともな理由が幾つかある。だがここでは、Appleの新発表にイベントを開く価値があるかを1〜10(数字が大きいほどいい)で評価する。

  • 新デザインのiMac:おそらくユニボディ筐体の。中の部品を変える――新しいIntelプロセッサとNVIDIAのグラフィックスチップ――だけなら、話題を巻き起こせない。イベントを開く価値は「6」

  • 新デザインのMac Pro:Appleのこの種のハイエンドデスクトップはあまり売れていない。デザインは新しくなっても、プレスリリースで済ませられないほどの変化はないだろう。イベントを開く価値は「3」

  • 新しいMac mini:ブログやニュースで取り上げてもらうにはいいだろうが、そこで話題は終わってしまう。Windowsからの乗り替えユーザーはノートPCではなく低価格のMac miniを求めているのだろうか? そういう人もいるだろうが、多くの人は違うだろう。イベントを開く価値は(話題になるという点で)「7」

  • 値下げ:Mac mini、それから特にiMacで、Appleはデスクトップマシンを値下げするかもしれない。そのリスクは? NPDによると、1月のデスクトップMacの売り上げは、前年同期から台数では31.5%、金額では33.4%減少した。ここもまた下降基調のカテゴリーだ。値下げはノート型Macの売り上げを多少食う可能性が高いが、デスクトップMacは魅力的なWindows PCの代替選択肢になるだろう。イベントを開く価値は「10」

 最初の3項目は、特別なイベントを開くほどのものではない。だがこれらの製品を値下げするなら、イベントを開く価値はぐっと高まる。499ドルのMac miniや799ドルのiMacをフル機能で提供する時なのだ。けちくさいことはしないでくれ。市場シェアが増えれば、利益率の低下分を取り戻せる。しかも、人気の高いノートPCカテゴリーをリスクにさらすこともない。

 今日、GartnerはPC出荷台数が前年比で最悪の下げ幅になるという予測を発表した。Appleもほかのメーカーと同様に打撃を受けるだろう。だがおそらく、デスクトップMacを値下げすれば多少のダメージを防げる。3月24日はそれを発表するまたとない良き日だ。

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