「パレートの法則」は、「社会全体の所得は、上位2割の人がその8割を占める」という経済学者パレートによって提唱された理論。この法則は所得だけでなく、仕事術にも応用できます。それが「パレート式仕事術」です。
「パレートの法則」は、「社会全体の所得は、上位2割の人がその8割を占める」という経済学者パレートによって提唱された理論です。つまり、平たくいえば「大勢はごく少数の要因により決定づけられる」ということです。この法則は所得だけでなく、商品別売上や不良品発生率など、あらゆる事象に適用できると言われています。
この法則を仕事に活かすと、スケジュール通りに、高い品質の仕事ができるようになります。これをわたしは「パレート式仕事術」と呼んでいます。
スケジュール管理が下手な人は、細部にこだわりすぎて、締め切りギリギリになって、完成に近づく傾向があります。これだと、出来上がりに近い状態を見られるのが後回しになってしまい、そこでいろいろな問題や要望が出たとしても、修正がききません。結果として、品質は満足のいくものにならないのです。
パレート式仕事術は、とにかく全体のスケジュールの2割程度で、8割程度の「見た目の完成」を目指します。8割の完成ではありません、あくまで「なんちゃって完成」です。
商品であればモックアップ、サービスであればフィージビリティスタディ……。細部が動かなくても構いません。商品やサービスの全体像が分かるものを作るのが目的です。
早めのタイミングで多くの関係者に全体像を見せることができれば、意見や要望をもらって、残りの時間で問題点をしっかりつぶしていけます。大々的にサービスインする前に、α版(モックアップ)を見込み顧客に試してもらえれば、致命的なサービス上の欠陥に事前に気づくこともできます。いくら綿密な計画を立てても、実行してみるとうまくいかない部分や、改善すべき点などが見つかります。
逆に、この軌道修正を締め切りギリギリに行うと時間切れとなり、満足のいかないものをリリースするという事態になりかねません。そのためにもパレート式仕事術で早めに手を打つのです。
仕事のあらゆるシーンで「パレートの法則」は存在しています。
この法則に気づけば、2割に集中することで、アイドルタイムを減らし、時間はかけているが成果が出ていない時間を駆逐できるでしょう。
本連載は、6月26日発売の書籍『結果を出して定時に帰る時短仕事術』(ソフトバンククリエイティブ刊)から抜粋・再編集したものです。
残業ゼロで成果を倍増する仕事効率化術――。と言っても、単に効率化だけではダメ。人生の価値マネジメントから始めるタスク管理としくみ作りを実践しましょう。「ワークライフバランス」と言っても単に時間バランスだけとっても意味はありません。
ビジネスパーソンは、顧客の要望を上回る成果を出しながらも、自分の時間をしっかり確保して、プライベートの充実と自分の付加価値を高めるための将来に向けた事故投資を両立する必要があります。
本書は、しっかり結果を出しながらも、将来の自分価値を高めるための「時短仕事術」を紹介しています。人生の価値感管理から日常生活のタスク管理まで、生産性戦争に打ち勝つためのテクニック満載です。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
Webサイト: www.showcase-tv.com
Twitterアカウント:@nagatameister
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.