65万円の控除を青色申告で得る“超”具体的な方法(フリーソフト編)イチから分かる確定申告(1/4 ページ)

65万円の青色申告を得るため、今回はフリーソフトを使ってみる。果たして結果は……。

» 2011年03月14日 12時00分 公開
[奥川浩彦Business Media 誠]

 今回はフリーソフトを使って青色申告に挑戦してみよう。Vectorの会計用ソフトの中で人気の高い「加藤かんたん会計」というソフトを実際に使用してみた。「加藤かんたん会計」は神戸の税理士、加藤晃三氏が作ったソフトで個人一般用、個人不動産所得用、法人用などを用意している。

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 公式サイトか、Vectorからダウンロード可能だ。YouTubeにて「加藤かんたん会計個人一般用マニュアル前編」「加藤かんたん会計個人一般用マニュアル後編」の動画も用意している。

 フリーソフトを使う場合、簿記3級くらいの知識が要るものが多い。青色申告特別控除の65万円をゲットするためには複式簿記による記帳が義務付けられている。

 筆者は理系出身ということもあり、簿記3級の知識もなく、根本的に理解しているとは言い難いのだが、4回の確定申告を経て、おぼろげに複式簿記なるものが分かってきた。市販ソフトは何も知らずに複式簿記が可能になるが、フリーソフトを使用するには多少知識が必要なので、ソフト説明の前に簡単に複式簿記に触れておこう。

 最初にとまどうのは借方、貸方ではなかろうか。帳簿では必ず左側に借方、右側に貸方と表記する。例えば3000円の現金でマウスを買った場合(最初は形があるものが比較的理解しやすいのでマウスを題材にした)、

  • 右手に3000円を握りしめてレジに行き、
  • 包装してもらったマウスを左手で受け取った

 としよう。これを帳簿上に記載すると、

  • 右側の貸方(貸す方=出す方)が現金(3000円)
  • 左側の借方(借りる方=もらう方)が消耗品(マウス)

 となる。

借方 貸方
消耗品3000円 現金3000円

 当然、支払った3000円は貸したわけでもなく、買ったマウスは借りたわけではない。普通の人は「借方、貸方という表現は変だろう」と思うだろうが、とりあえず気にしないことだ。消耗品という表現も「インクや紙は消耗するけど、マウスはそれほど消耗しないだろう」と思うかもしれないが、10万円未満の備品類は「消耗品」という勘定科目に分類されている、と深く考えず理解しよう。

 次はやや理解しにくい無形のものの場合だ。電気代を普通預金の口座から1万円払った(引き落とされた)としよう。1万円の電気代の請求書を左手で受取り、右手に持った通帳から1万円を払うイメージとなる。

借方 貸方
水道光熱費1万円 普通預金1万円

 次は売上の場合だ。まず10万円の請求書を相手に右手で渡すと、貸方に売上(10万円)、支払いが翌月の場合は、請求段階に左手で受け取るのは売掛金となる。ざっくり言うと「来月10万円払いますね」という約束を受け取るイメージだ。

借方 貸方
売掛金10万円 売上10万円

 翌月入金されると、右手で相手に渡すのは「先月10万円払うって約束したよね」という売掛金、普通預金に10万円振り込まれたら左手で受け取るのは普通預金(10万円)となる。

借方 貸方
普通預金10万円 売掛金10万円

 このようにお金に関するすべての動きを借方、貸方で整理していくわけだ。

「加藤かんたん会計」を使ってみる

 では、実際に「加藤かんたん会計(個人一般用)」を使ってみよう。前回の「やよいの青色申告11」と同じデータを入力しながら比較してみたい。前回の「やよいの青色申告11」と同様、ここからは画像とキャプションによる紙芝居方式で進めるので、画像を拡大表示し「次の画像」をクリックしながら読んでいただきたい。

ソフトを起動するとこの画面を表示する。「合意します」にチェックが入っているので、そのままOKをクリック
消費税非対応版と対応版を選択する。個人事業主は開業して2年は非課税となるので非対応版を選択
インフレ時代の確定申告
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