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» 2014年02月19日 10時30分 UPDATE

ストレスをためない技術:心理ストレスで手が止まったら、単純作業に没頭しよう

やらなきゃいけないと思いつつも、雑念が生じて作業効率が落ちてしまう……。そんなときは、作業を変えると「自分の状態」も入れ替えられます。

[松島直也,Business Media 誠]

集中連載『ストレスをためない技術』について

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 本連載は、2012年2月16日に発売の松島直也著『ストレスをためない技術』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。

 ストレスは、決してなくならない。ストレスはできるだけ感じたくないものです。けれど、世の中からストレスは決してなくなりません。一歩外に出れば、さまざまなことがストレス要因となり、あなたを襲います。自分だけが「安全地帯」に逃げ込むことはできないのです。

 大事なのは「ストレスをなくすこと」ではなく、「どう付き合うか」を知ることです。本書では、NLP(神経言語プログラミング)の専門家である著者が、ストレスとの正しい付き合い方を紹介します。


 今回は作業内容と自分の状態について考えてみます。どんな職業、立場の人でも、自分の仕事をいくつかに分類できると思います。分かりやすく区分けするなら「考える仕事」と「頭を使わずにできる単純作業」といったところでしょうか。

 例えば、次の2つをあなたはどのような順番で行なっていますか。

  • A:今週末の企画会議に出す企画案を練る
  • B:来週の会議の資料をコピーする

 大抵の人は緊急度の高い順に仕事をすると思います。このケースならAを先にやるのが当たり前。Aは今週末、Bは来週ですから当然その順番になります。では、こんな場面を想像してみてください。

 あなたは今週末の会議のための企画案を上司に見せたところ「アレもダメ、ここもダメ」と滅茶苦茶にダメ出しされてしまいました。上司の言い方もひどいもので、みんなが見ている前で「オマエには能力がまったくない」「任せたのは間違いだった」とまで言われ、あなたは意気消沈して自分の席に戻って来ました。

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 よい企画案が出せない自分も情けないし、ひどい言い方しかできない上司にも腹が立つ。みんなの前で怒鳴られたのは恥ずかしいし、それでいて企画会議までにもう時間がないから焦る。そんな感情が今のあなたには入り交じっています。まさにストレスフルな状況です。

 こんなとき「企画案を練る」というAの作業を再開しようとしても、はっきり言って無駄です。苛立ち、不安、恥ずかしさなど、さまざまな感情に邪魔されて作業に集中することなどまず不可能。何よりもまず「状態を入れ替える」必要があります。

 ここではもう1つ「作業を変えて、状態を入れ替える」というアプローチを紹介します。

 今週末の企画会議のことはひとまず置いておいて、資料のコピーという単純作業を先にやってしまうのです。実は単純作業にはリズム運動と似た効用があります。ウォーキングやジョギングのように淡々と同じことを繰り返していると、気分が落ち着いてくると同時に、ちょっとした作業興奮を覚えます。作業に没頭し、乗ってくる感じ。ランナーズ・ハイのような感覚です。

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 単純作業を繰り返していると、脳はサボり始めます。思考が停止して、ただ漫然と夢中になって手を動かし続けてしまう。そんな経験はありませんか。資料をひたすらホッチキスでとめるとか、封筒の封入作業などを行なっていると、そんな状態によくなります。

 この感覚をストレス処理に利用してしまうのです。ネガティブな感情が思考の邪魔をするくらいなら、すぐに単純作業に切り替え、没頭してしまうのも有効な手段。上司に企画案をボツにされ「ああ、嫌だな」と思った瞬間、「違うことをやろう」とスイッチを切り替えてしまう。本当に右から左へスイッチを動かすように「頭脳労働→単純作業」へパチッと切り替えてしまいましょう。

 その後、単純作業を繰り返していれば、あなたの状態は確実に変わってきます。自分の感情を切り替えるより、実際の作業を切り替えるほうがはるかに簡単。ぜひ試してみてください。

 ここで紹介したのは「ストレスを感じたときに切り替える」例でしたが、普段から作業内容を上手に切り替えていくのも、実はとても有効です。

 そもそも人間は、頭脳労働であれ、単純作業であれ、同じことを続けていると知らず知らずのうちに疲れがたまってきます。疲れがたまると、自然に状態は悪くなり、ちょっとしたことでもストレスを感じやすくなってしまう。

 そうならないために、あらかじめ作業の切り替えを日常化してしまうのです。午前中に頭脳労働をやったら、午後は単純作業から始める。朝はデスクワークをして、午後からは人に会う約束を入れるなど、意図的に作業内容を切り替えている人はけっこういます。そうやって「よい状態」をキープできれば、それだけストレスを感じにくくなり、仕事のパフォーマンスも上がります。

 あなたの1日を「仕事の種類」という視点で振り返ってみてください。もしかしたら仕事内容の組み替え、順番の入れ替えをするだけでストレスを軽減し、効率をアップさせることができるかもしれません。

 心と体の状態を切り替えるのに、デスク周りを片づけるという方法を取り入れている人もいます。ちょっと嫌なことがあったり、仕事が忙しく頭の中が混乱しているとき、気持ちを整えるのと同じ感覚で、机の上や引き出しの中を片づける。たしかに、これも効果的です。

 「片づけ」という作業そのものが状態を整えるのに役立つのはもちろんのこと、「片づけ=気持ちを整理する」というアンカーリングになっていれば、自然に気持ちが落ち着いてくるはずです。

 ついでと言っては何ですが、ガムを噛むのも「状態改善」の効果があります。一度ガムを噛み始めると、無意識に口を動かしてしまうでしょう。あの行為が自然なリズムを取り戻し、心と体を正常な状態に戻してくれます。一種のリズム運動です。職場でガムを噛むことが可能な人はやってみてください。

 ガムはちょっと例外としても、「自分の状態と仕事のマッチング」を見直すことは、ストレス回避、効率アップの双方にとって意味があります。緊急度に応じて仕事の順番を決めるというだけでなく、「ストレスを感じにくい」あるいは「状態を整えやすい」という理由で作業を選ぶのも、ストレスと上手につき合うコツです。

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