Oracle OpenWorld、開幕の挨拶はグリッドコンピューティングOracle OpenWorld Report(2/2 ページ)

» 2004年09月07日 15時29分 公開
[IDG Japan]
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 調査に当たり、対象企業は2つのクラスに分類された。1つは売上高が10億ユーロ(約12億米ドル)または従業員数が1万人というクラスの企業グループ、もう1つは売上高が1億ユーロまたは従業員が1000人というクラスの企業グループである。ペイン氏によると、大規模企業グループの総合Grid Indexは3.2で、小規模企業グループの2.9よりも高かった。

 調査によると、グリッドコンピューティングに対するコミット姿勢が特に強かったのは、小売業、金融サービス、公共サービス部門の企業で、国別ではフランス、英国、ドイツ、英国、ベネルクス諸国の企業の意識が高かった。

 調査回答者の51%が、グリッド技術の主要なメリットとして、IT設備投資および運用コストを全般的に削減できることを挙げている。しかしグリッド技術の原理およびそのメリットに対する認識不足が、普及率に影響を与えている主要な要因であることも明らかになった。

 「この調査の主な目的は、グリッドコンピューティングに関する意識を高めることだ。各種の調査でも示されたように、この市場は長期的に巨額の収益を生み出す可能性があるからだ」とペイン氏は話す。

グリッド市場の拡大はOracleに追い風

 IDCが3月に公表した調査報告書「The Role of Grid Computing in the Coming Innovation Wave」(来るべき技術革新の波におけるグリッドコンピューティングの役割)では、グリッドコンピューティング市場の規模が2007年までに120億ドルを超えると予測されている。

 ペイン氏によると、グリッドコンピューティング関連技術の普及拡大はOracleの収益にとってプラスの効果があるという。「Oracleは既製の製品として最も優れたものを提供しているからだ」(同氏)

 「Oracleの製品は箱から出すとすぐに使えるに対して、IBMのグリッドコンピューティング技術は同社のコンサルティングビジネスがベースとなっている。Microsoftのグリッドコンピューティング戦略ははっきりしない。同社はこの市場に姿を現しつつあるが、まだ数年遅れている」とペイン氏は話す。

 Oracleでは、グリッドコンピューティングを目指す顧客にとって重要な足掛かりとなるのが同社の「RAC」(Real Application Clusters)技術であると考えている。ペイン氏によると、RACのユーザーは全世界で4200社(うち欧州企業は1500社)に上り、Oracleはグリッドコンピューティングに対する意識をさらに高めるという目標に向かって順調に進んでいるという。「RACは、多数の顧客がグリッドの導入を始めようとしていることを示す最も正確な指標だ」と同氏。

 Oracleでは、開催中のOpenWorld Londonに続き、ミラノおよびアムステルダムで今月開催されるOpenWorld Europeanカンファレンスなどあらゆる機会をとらえてグリッドコンピューティングのメリットを顧客にアピールする方針だ、とペイン氏は話す。

 OpenWorld Londonは、欧州におけるOracleのカンファレンス戦略の転換を意味するものでもある。従来、欧州でのOracleカンファレンスはパリとコペンハーゲンで開催されてきた。

 「昨年のOracle OpenWorld Parisの来場者は6000人と少なかったが、このイベントはデータベースやアプリケーションサーバなどの技術製品だけにフォーカスしたものだった。今年のイベントのテーマは、技術プラットフォームとアプリケーション製品を組み合わせたものとなっているため、より広いOracleの顧客層を引きつけるだろう」とOracleの広報担当者のケアバー・スグルー氏は電子メールで取材に答えている。

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