勝ち残る企業のWebプロモーション

メディアに火を付けるコツ【前編】WebPRの仕掛け方(3/3 ページ)

» 2009年10月02日 08時00分 公開
[太田滋(ビルコム),ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

WebPRに成功した食品会社のECサイトプロモーション例

 企業が戦略的なWebPRを仕掛けていくに当たり、ニュースの7要素や企画立案の5つのポイントに即して、メディアに特集企画を提案することが求められる。以下は、ある食品関連のEC(電子商取引)サイトをプロモーションするために実際に作られた企画提案書の要約だ。この企画の狙いは、ネット通販で食料品を購入するという生活スタイルの定着である。

タイトル

家計の味方 ネット通販市場が活況

概要

原油の高騰により食品や日用品の物価が上昇した結果、家計の切迫を招いている。こうした中、ネット通販が主婦の間で人気だ。上手に活用すれば家計の手助けになる。本企画ではネット通販の現状を消費者に訴求し、「物価高騰時代」を生き残るためのヒントを伝える。

背景

・原油の高騰により、パンやパスタなどの穀物品の価格が上昇

・チーズやマーガリンが最大20%値上げ

特集企画の構成案

1.原油の高騰をはじめとする家計逼迫(ひっぱく)の現状

2.ネット上でのお得な食品通販サイトを紹介(競合他社も紹介)

3.食品通販サイトの賢い利用方法の紹介

4.高まるネット通販市場に関して通販サイト事業の責任者のインタビュー

提供できる素材

1.通販サイト事業の責任者への取材

2.ECビジネスの専門研究家への取材

3.売上拡大に関する数値データ

4.競合他社との比較資料

 この企画を提案した当時(2008年7月)、原油高高騰による相次ぐ食料品の値上げが発生し、家計を逼迫(ひっぱく)するという社会的な問題が引き起こっていた。このような社会情勢を時流要素として企画に入れた。また普段利用するスーパーに移動しなくても、商品を安く購入できるというネット通販の実利要素も盛り込んだ。

 結果として、この企画はニュースサイトに記事として取り上げられ、その後同様の企画を雑誌や新聞、テレビ、ニュース番組など合計15媒体が、この企画に関連するニュースや特集を報じた。Webサイトの認知度拡大にも大きく貢献したといえる。

 メディアに取り上げてもらうための企画書を作成するポイントは、「企業側が伝えたい」と考える情報を含めることだ。ここでは、インターネット通販がお得であるという点とECサイトのサービス内容が該当する。同時に、メディアが取り上げたくなるような情報の糸口を、ニュースの7要素を参考にしながら企画に盛り込むことを意識しておきたい。


 市場の流行を作り出し、消費者の生活スタイルに訴求するには、アンケートリリースやメディア向け企画などを採用することが効果的だ。これにより、消費者の購買プロセスの第一段階である「気づく」を喚起し、企業が届けたい情報を消費者に印象付けられる。

 次回は消費者の購買プロセスのうち「わかる」「比べる」「買う」の各段階で、企業がどのような施策を取ればいいかを説明する。

企業向け情報を集約した「ITmedia エンタープライズ」も併せてチェック

著者プロフィール:太田滋(おおた しげる)

ビルコム 代表取締役兼CEO。PRの戦略構築から企画実行までを手掛けるPR会社としてビルコムを2003年に設立。2008年にはWebPR関連のサービスを提供しており、相模ゴム工業のWebキャンペーン「LOVEDISTANCE」なども仕掛けた。著作にはWebPRの実践手法をまとめた書籍「WebPRのしかけ方」がある。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ