NovellをAttachmateが22億ドルで買収、Microsoftに知財の一部を売却

AttachmateはNovellとSUSE Linuxを分割して運営する計画だ。NovellがMicrosoft傘下のCPTNに4億5000万ドルで売却する知的財産の詳細については明らかにされていない。

» 2010年11月24日 12時05分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 財政難だったネットワークアプリケーション企業の米Novellは11月22日(現地時間)、米Attachmateによる現金22億ドルでの買収に合意したと発表した。

 買収額は1株当たり6ドル10セントで、これは2010年3月2日の終値に28%上乗せした金額だ。

 3月2日というのは、ヘッジファンドの米Elliott AssociatesがNovellに対し1株当たり5ドル75セントでの買収を提案したと公表する直前の最終取引日に当たる。NovellはElliottの提案を拒否したが、ほかの売却先を探すとしていた。

 だが、ElliotはNovell株式の29.9%を保有しているため、3月の買収提案などを通じてNovellに身売りを急がせた結果、この売却で約4000万ドルの利益を実現することになる。

 創業30年のAttachmateは、約6万5000の顧客を擁するホスティングおよびシステム・セキュリティ管理製品企業。シアトルに本拠を置き、6大陸に複数の事務所を持っている。

 Novellはまた、保有する知的財産の一部を米Microsoftが組織したCPTN Holdingsに現金4億5000万ドルで売却することも明らかにした。この売り上げはAttachmateによる支払い総額に含まれる見込みだ。

Microsoftが獲得するのは何か?

 NovellはMicrosoftにどの知的財産を売却するのか明らかにしていないが、米Jefferiesの上級ITアナリストを務めるキャサリン・エグバート氏は「恐らくNovellが1990年代後半に買収したWordPerfectに関連する資産だろう。NovellはWordPerfectをめぐり、Microsoftの反競争的行為で損害を被ったとしてMicrosoftを提訴した」と語った。

 「思い起こせば、Microsoftは2006年、UNIX関連の提携をNovellと結び、数年にわたってNovellに総額で約3億5000万ドル支払ったことがある」(エグバート氏)

 WordPerfectの製品ラインは過去2回売却されている。最初は1994年6月にNovellに、その後、1996年1月に米Corelに売却された。だが、NovellはWordPerfect Officeの技術を保有し、同社のメッセージング・コラボレーション製品「GroupWise」に組み入れた。

 NovellがLinuxサーバ部門を米VMwareに売却する計画だといううわさが長く流布していたが、真実ではなかったことが明らかになった。だが、AttachmateはNovellの企業向けLinux事業であるSUSE Linux部門を独立した事業ユニットとして分割し、傘下の米NetIQなどと同様に子会社として運営する計画だとしている。

 エグバート氏は「1株当たり6ドル10セントという買収価格は適正だ」という。「この提示額は、企業価値/売上高の2.7倍、予想利益の25倍に相当する。NovellがSUSE LinuxをAttachmateに売却することは、米Red Hatにとっても比較的プラスに寄与する」

 将来的な経営形態は不確実ではあるが、Novellは従来通り事業を継続し、新製品を提供していく。9月に開催されたVMworldで、Novellは同社初のクラウドコンピューティングプラットフォーム「Novell Cloud Manager」を発表した。

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