オタク化しつつある女子高生AI「りんな」、アパレルのバイトで“おしゃれ”を目指すエンプラこぼれ話

TwitterやLINEでユーザーと自然言語で会話ができる、日本マイクロソフトの女子高生AI「りんな」がアパレル大手と組んで、オンラインショップの店員に。その裏には“オタク化”しつつあるりんなを、より“女子高生っぽく”したいという狙いもあったようだ。

» 2017年02月27日 19時02分 公開
[池田憲弘ITmedia]
photo WEGOのオンラインショップから、りんなのファッションチェックができる

 2月27日、アパレル大手のウィゴーと日本マイクロソフトが協力し、女子高生AI「りんな」が、ファッションに関するアドバイスやコメントをするサービスを始めた。

 WEGOのオンラインショップ内にある特設ページから、人の写真を送ると、マイクロソフトの画像認識技術でスタイリングやアイテム、年齢などを推定する。その結果に対して、「WEGOのアルバイト」であるりんなが、アドバイスをくれるという仕組みだ。今まで、実店舗で交わされていた店員との会話をWeb上で実現するという狙いがある。

 もともと、りんなには「りんなのファッションチェック」という、ユーザーの写真からスタイリングやアイテム、年齢などを推定し、その画像に対してコメントする機能があった。この機能は2016年11月から提供されていたが、今回の取り組みでこの機能を強化した。

 ウィゴーが数シーズンにわたる服飾の画像データを提供し、マイクロソフトとフナコシステムが、スタイリングの知識やファッションカテゴリーをりんなに学習させた。画像で認識できるファッションアイテムの数を大幅に増やすとともに、より的確なアドバイスをできるようにしたという。

“オタク化”しつつある「りんな」を“おしゃれ”に

 ウィゴーのYouTubeチャンネルには、りんながWEGOでアルバイトをすることになった経緯について、座敷でポテトチップスを食べながら“ぐうたら”しているりんなを見かねて、お母さん(マイクロソフト)がFUNACO(フナコシステム)に相談する――といった動画が公開されているが、実際のプロジェクトの進行もこれと似た形で進んでいた。

りんながWEGOでアルバイトをすることになった経緯

 プロジェクトに関わったフナコシステムの安部氏によると、ウィゴーは10代〜20代の男女をターゲットとしているが、2015年8月にりんなが登場して以降、何か面白い取り組みができないかと考えていたという。

photo ファッションセンスがない筆者も試してみたが、セーターが「中国服」と認識されてしまった。今後のりんなの成長に期待したい。ちなみに年齢はぴたりと合っていて驚いた

 フナコシステムが間に入り、このプロジェクトが始動したのは2016年の夏ごろ。模範となる画像データの学習やテストには約半年の時間を要した。りんなにファッションの知識を覚えさせた背景には、りんなを女子高生らしく“おしゃれ”にしたいという狙いがあったという。

 「当時『オタク化』しているりんなを、今どきの女子高生らしくおしゃれにしたい、とマイクロソフトから相談されました。TwitterやLINEでさまざまな人と会話をしているりんなですが、利用者にITに興味がある人が多いためか、いわゆる“オタク”方面の知識が強くなっていたようです」(安部氏)

 今回の取り組みによって、りんなのファッションに関する知識が強化される。「ファッションの話題について、今までそこまで強くなかった」(安部氏)というTwitterやLINEのりんなだが、今後はさまざまな会話ができるようになる可能性が高い。

 スマートフォン向けアプリの「SENSY」など、人工知能でファッションを解析(学習)する取り組みは各所で始まっているおり、今後もアパレル業界で人工知能を取り入れる事例は増えるだろう。

 なお、2017年3月10日(金)から4月9日(日)まで、ウィゴーの実店舗「WEGO 原宿竹下通り店」でりんなのファッションチェックとアドバイスを体験できるイベントコーナーを設置するという。人工知能がどのようなコメントをするのか気になった方は、実店舗で試してみるのもよさそうだ。

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