ICTリーダー会では月に一度、QlikViewのノウハウや自作ツールを紹介したり、悩みを相談したりするミーティングを開催している。野中さんが“有名人”に声をかけて回ったところ、各部署から計15人ほどが集まった。10代から50代、新入社員から部長まで、老若男女が参加する非公式な組織で「来る者拒まず、去る者追わず」がコンセプトだ。業務が忙しければ出席しなくていいし、逆にQlikViewに興味があれば、誰でも参加できる。
「定年退職した有名人の“技”を受け継ぐ新人がいるなど、本当に面白い組織ですよ。最近の会議で紹介されたのは、現場の作業工数を確認するツールですね。弊社では、従業員の作業時間を確認するのにタイムスタンプを使っていますが、全作業者のデータ入力や、上長の承認状況を見える化し、もれなくフォローするためのものです」(野中さん)
このような業務に直結した可視化ツールなどを各自作成しており、その数は約700個ある。全社的なメリットがあるようなツールについては、ICTリーダー会で協議の上、社内ポータルから簡単にアクセスできる「公式ツール」になるという。現在では70個ほどが公式ツールに選ばれている。改善やアップデートの要望がある場合は、ツールの作成者に直接連絡をする仕組みだ。
ポータルトップには、ツールの利用回数のランキングを表示しており、利用頻度が高いツールは一目で分かるようになっている。上位のツールは、業務になくてはならない存在になっており、それがツール作成者のモチベーションにつながっているそうだ。
QlikViewを導入してから、「現場業務の改善事例が増えた」と野中さんは話す。航空宇宙カンパニーで行われている改善事例の発表会では、毎回どこかの部署からQlickViewを使った事例が出てくるようになった。今ではパワーユーザー用のアカウント数も買い足しているという。
実際に大きな効果を上げているのが部品の納期だ。部品を供給するパートナー企業の納期順守率を可視化し、資材担当部署の入口に設置しているディスプレイにランキング形式で表示するようにした。導入前は平均で6割程度だった順守率が、今では8割を超えているそうだ。
「やっていること自体は、情報をまとめて見せているだけに過ぎませんが、それでも大きな効果があると感じました。パートナー企業も含めて情報を共有していくことで、よりよい結果に向かって進めるのだと思っています」(野中さん)
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