HDMI最大の特徴は、テレビ/ビデオ間をフルデジタルで接続できる点にあるといえる。映像と音声のデータをケーブル1本に集約できること、HDCPの著作権保護技術に対応することといった特徴もあるが、理論上は劣化なしにハイビジョン映像を楽しめることが最大のアピールポイントだろう。
そのHDMIの仕様は2006年にアップデート、HDMI 1.3として公開された。変更点は以前紹介したとおりで、帯域幅の拡大による解像度アップや機器間制御信号のサポートなど多岐にわたる。
なかでも注目すべきは、ミニHDMI端子(タイプC)の採用だ。従来は19ピンのタイプAと29ピンのタイプBがあり、民生品では小型のタイプAが主に使用されてきたが、タイプCはタイプAよりさらに小さい。接続部の断面積はタイプAの半分ほどだが、ピン数はタイプAと同じ19でHDMIケーブルとしての機能差はない。ビデオカメラやデジタルカメラでの採用実績もある、小型機器用のHDMI端子という位置付けだ。
タイプCで小型化されたHDMI端子だが、今後さらに小型の端子が追加される見込みだ。米Silicon ImageなどHDMIの仕様策定に大きな影響力を持つ企業が、携帯電話市場でのHDMIの普及を目指す方針を明らかにしているからだ。携帯電話の小さな画面にフルデジタルのハイビジョン映像は必要ないはずだが、内蔵メモリにストックしたハイビジョン映像をテレビへ出力、という用途ならばその必要性もうなずける。
ビデオカメラ/デジタルカメラの分野でも、端子は小さいほうが有利なはず。HDMIの採用はすでに始まっているが、タイプCより小さい端子が登場すれば、その流れが加速される可能性は高い。現状は動作に100ミリワットほど必要なHDMIチップも、小型端子の性質を考えれば、より消費電力の少ないものへシフトを進めることだろう。
小型化の一方で、機器間制御機能(CEC)も強化される。HDMIの仕様策定を行う米HDMI LicensingはHDMIで接続した機器を共通のリモコンで制御可能な製品が、2007年末までに松下やシャープ、SONYといった企業から発売されることを明らかにしている。小型化とCECが、今後のHDMIの方向性を語るときのキーワードとなるはずだ。
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