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アプリ連携で快適操作、ヤマハ「RX-V771」のネット機能を試す動画で解説する(2/2 ページ)

» 2011年07月01日 16時31分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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自前のiPad2で操作性を試す野村氏

 まず何よりも、レスポンスがいい。実際にビデオを撮ってみたので、それを見てもらえば一目瞭然(りょうぜん)だが、スピーディーにさまざまな設定変更が行える。赤外線ではなく無線LANを使っていることは大きいが、それは他社製品でも同じ。これほどのすばやい反応を見せるアプリはほかになく、レコーダー/テレビ用を含めてもほとんど経験がない。大体は操作してから一呼吸して反応するものがほとんどで、なかには古き悪き時代の車載用ナビのごとく、反応が遅くて思わず2度押ししてしまうものもあるのだが、こと「AV CONTROLLER」関しては、そういったストレスとはいっさい無縁だ。表示がグラフィカルなぶん、付属リモコンよりも扱いやすいくらいだ。

 機能的にも、なかなかに充実した内容だ。先に書いた基本機能に加え、シネマDSPの設定変更が手軽に出来る点はありがたい。さらに音響設定に関しては、トーンコントロールやセリフ位置の調整、ピュアダイレクトやシネマDSP 3Dモードのオンオフなども用意されており、かなり細かい部分まで調整が行える。これは便利だ。

 また「入力選択」でPCを選ぶと、PCやレコーダーなどDLNA対応機器のリストが現れ、それらに納められたコンテンツをチョイスできるのだが、こちらの操作感もスムーズで、希望の楽曲をあっという間に選び出すことができる。

 今までのDLNA対応AVアンプでも同じリスト機能は持ち合わせていたが、ここまでスムーズな動作は実現できていなかった。しかも、こういったアプリではなく、オンスクリーンメニューなどを使う場合は、十字キーで1ライン1ライン移動していかなければならないため、それをおっくうに感じてAVアンプのネットワーク機能をあまり使わなくなってしまった人も少なからずいるはずだ。対して「AV CONTROLLER」は、タッチパネルで直観的に、しかもスピーディーな操作が行える。いい意味でAVアンプらしからぬ、すばらしい操作性を享受できるのだ。

 なお、「AV CONTROLLER」は、RX-V771だけでなく、RX-V3067やRX-V2067、RX-V1067、DSP-Z7、DSP-AX3900に対応している。モデルによってはここまでのスピーディーな動作は不可能かもしれないが、この直感的な操作が既存モデルでも手に入るのはありがたい限りだ。


ブラッシュアップしたサウンド

 さて、肝心の音質に関してはいかがなものだろう。RX-V771では、ハードウェアにミドルクラスとは思えないほどのこだわりが垣間見られる。先代RX-V767も音質面ではかなりコストパフォーマンスの高い製品ではあったが、RX-V771では高音質オペアンプやカスタムオーダーによるPP(ポリプロピレン)コンデンサーなど構成部品を試聴テストに基づいて再選定。同時に外部機器からのジッター侵入を阻止して高音質を守るロージッターPLL回路の採用や、FLディスプレイ用電源をメイントランス電源から独立させてノイズ低減を推し進めているなど、音質向上のための改良が施された。

 さらにネットワーク部には、44.1/88.2kHz用と48/96kHz用で個別クロックジェネレーターを用意してデジタル信号の精度を向上させる、デュアルオーディオクロックを新搭載。ネットワークオーディオに関しても、いっさいの手抜かりはない。

付属の赤外線リモコン。USB入力が付いた

 一聴して素直に驚いた。先代RX-V767も音質的にはかなり良好なパフォーマンスを示してくれる優秀機だったが、それが一瞬で色あせてしまうほど、RX-V771のサウンドクオリティーは高い。とても10万円以下のクラスとは思えないほどだ。

 とにかくSN感が素晴らしい。Blu-ray Discでアクション映画を見ると、ノイズ感がとてもミニマムであるため、細かいSEまでもしっかり耳まで届いてくれる。おかげで見慣れているはずのシーンがとてもフレッシュに見えてきて、より印象的な場面へと生まれ変わってくれた。さすがに音の迫力やスケール感の大きさは上位モデルに譲るものの、RX-V771ならではの鮮度感の高さは、それを補って余りある魅力だと感じる人も少なからずいるはずだ。

 ダイナミックレンジにおける階調の細やかさや、解像度感もなかなかのもの。ネットワーク経由で音楽を再生したところ、女性ボーカルはニュアンス豊かな歌声を披露してくれる。さらに少々意地の悪いチェックをしようと、44.1kHz/16bitと96kHz/24bitでレートが異なる同じ曲を続けて再生してみたのだが、これが見事に両者のクオリティー差を描き分けてくれる。単体のネットワークプレーヤーやUSB DACならともかく、ここまで違いをはっきりと描き分けられるAVアンプはそうそうない。

 このようにRX-V771は、AVアンプとしての機能性はもちろん、音質面においてかなり優秀なネットワークプレーヤー(この場合再生システムというほうが正確かもしれない)としても活用できる、価格を超えたパフォーマンスを示すかなりの優秀機だといえる。それに輪をかけて、アプリの便利さや操作性のよさも嬉しいところ。映画を見るだけでなく、PC内の音楽やインターネットラジオを楽しむ「マルチメディアセンター」として、大いに役立ってくれる魅力的な製品だ。

「シネマDSP 25周年記念サイト」がますます充実

ヤマハが4月に開設した「シネマDSP 25周年スペシャルサイト」がユニークだ。シネマDSPにかけた同社の「音場創成」哲学や、AVファンには懐かしい同社のフラグシップ機の数々を紹介。さらに最近では多彩の音場プログラムを楽しむためのオススメソフトなども掲載している。この中には、音場プログラム開発にあたってリファレンスとしたコンテンツも含まれているという。ヤマハのAVアンプを持っている人はもちろん、これから導入を考えている人、そして過去に使っていた人にも興味深い内容となっている。



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