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次世代クアトロンにIGZO、“大画面”だけじゃないシャープ2013 International CES

» 2013年01月11日 17時11分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
シャープブース

 Ultra HD(4K)、OLED(有機EL)、大画面、スマートテレビなど、多数のキーワードが飛び交う今年のInternational CESだが、シャープもまた例外ではない。ブース展示は、とくに大画面と4Kを全面に押しだしたもの。さらにシャープは、“高画質”や“IGZO”といったトピックもある。

 シャープの正面入り口では、商用展開を前提とした製品としては世界最大クラスとなる90V型の液晶TVが展示され、来場者をお出迎えしている。同社ブースではこの90V型TVを中心に大画面テレビが多数配置され、テレビメーカーの中では最も“大画面”を訴求する展示が印象的だった。

入口では90V型の大画面がお出迎え。ブース中央は北米向けの大画面液晶テレビが占め、展示の目玉となっている

さらに滑らかになった次世代クアトロン

 “高画質”という部分では、昨年末に国内で発表したICCテレビ(国内ではICC PURIOS)、NHKのスーパーハイビジョン放送に対応した85インチ8Kディスプレイ、そして2014年以降の製品化を目指すという次世代のクアトロンパネルなどが挙げられる。

右側が次世代クアトロン。2014年の製品化を目指している(左)。現行の60V型クアトロン(フルHD)と4K解像度の次世代クアトロンに同じ映像を表示して比較するデモも行っていた。4Kになれば、サブピクセル数はさらに4倍だ(右)

 まずおさらいしておくと、シャープのクアトロンは、従来の赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)に黄(Yellow)を加えたRGB+Yのサブピクセルを持つ独自のパネル技術だ。色再現性の向上が大きなメリットだが、同時にサブピクセルが約892万と従来の約1.3倍(RGB方式は約622万、フルHDの場合)に増えたことを生かし、より滑らかな斜め線を表現する「フルハイプラス」という駆動制御も特長になっている。

 次世代クアトロンでは、このサブピクセル制御が進化。従来は水平方向に限られていた処理を垂直方向にも適用し、さらに精細感が向上。よりクリアな輪郭を表現できるという。また、次世代クアトロンを4K解像度にした60V型も展示。こちらは現行モデルと比較視聴できる展示構成で、色表現や明るさのほか、アップコンバート技術の優位性をアピールしていた。

NHKのSHV(スーパーハイビジョン)に対応する85V型の8Kディスプレイ。多くの人がその映像に見入っている。

 また、4Kのさらに先を見据えた85インチ8Kディスプレイの周辺にはとくに多くの来場者が集まっていた。このクラスのパネルでは通常の距離からの映像だけでなく、実際に画面に近付いて画素の細かさを確認する人も多く、他のコーナーと比べ同じ場所に比較的長い時間滞留していた印象だ。

IGZOに関する展示も多数

 シャープは、55インチ以上の画面を持つテレビは、フルHDでは画素の“あら”が目立つため、4Kのような高精細パネルを訴求していきたいと説明する。一方、PCやタブレット向けディスプレイといった中小型パネルにもIGZOを採用し、そのメリットを各分野で活用できるよう高精細化を進めていく。

32インチのフルHDと4Kを比較

 一般に小型パネルでは高精細化を進めると、画面が全体に暗くなってしまう。そこでIGZO技術で開口率をアップして明るさを確保し、さらにもう1つの特長である低消費電力でモバイル端末の性能を底上げするという、画質と駆動時間を両立する方向を目指している。展示会場では、4K解像度の32インチパネルにタッチセンサーを組み合わせたディスプレイ、IGZOの省電力性が分かる比較デモでその技術的なメリットをアピールしていた。

IGZO関連の展示。32インチの4K IGZOパネルにタッチセンサーを組み合わせたもの(左)。スマートフォン/タブレットでのバッテリ消費スピードの比較で省電力性をアピール(右)

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