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スマホ向け映像サービスをテレビでも、ドコモ「dstick」を見てきた7万台を無償配布

» 2013年01月22日 18時14分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 NTTドコモは1月22日、ドコモのスマートフォン向け映像コンテンツをテレビでも楽しめる「dstick」を発表した(→関連記事)。スマホと家庭の機器を連携させる「ドコモ スマートホーム」の一環。名称を変更した同社のコンテンツ配信サービス「dビデオ」(VIDEOストア)、「dアニメストア」(アニメストア)、「dヒッツ」(MUSICストア セレクション)のユーザー(新規含む)を対象に、7万台を無償配布するキャンペーンを2月1日から展開する。

「dstick」は、テレビのHDMI端子に直接挿して映像を出力するネットワーク端末。電源はUSBケーブルで供給するため、USB端子をのないテレビではACアダプターを使用することになる。ACアダプターは付属していないが、500mAのため汎用品が利用できる

 dstickは、テレビのHDMI端子接差し込むタイプのスティック型端末だ。一見、よくあるAndroidスティックに見えるが、実はLinux系のOSを採用している。スマホユーザーが違和感なく使えるようにAndroidライクなユーザーインタフェースを備え、初期導入されているアプリもAndroid版を踏襲したが、当然Google Playには非対応のため、ユーザーがアプリを追加することはできない。あくまでドコモの映像配信サービスを利用するための端末だ。

利用イメージ。リビングルームでもスマホ向け動画配信が楽しめる

 通信機能として、2.4GHz帯のWi-Fi(IEEE 802.11b/g/n)およびBluetooth 2.1をサポート。宅内の無線ルータを介してスマホ向け映像サービスにアクセスする。ユーザーは、スマホと同じID/パスワードを使い、大画面テレビでもコンテンツを楽しめる。追加料金も不要だ。

 赤外線リモコンなどは付属せず、操作はすべてスマホで行う。専用アプリ「dstickリモコン」をインストールしたスマホとdstickはBluetoothで接続。操作画面はスライドパッドがメインで、画面上のカーソルを動かす仕組み。このため「Bluetoothリモコンというより、Bluetoothマウスといったほうが適切かもしれない」(同社)。なお、ペアリングは独自仕様のため、市販のBluetoothマウスなどは使用できない。

アプリ画面には周囲に「dビデオ」など各サービスへのショートカットのほか、音量調節や消音といったアイコンが並ぶ

 CPUは、ARM系のシングルコア(cortexA5/800MHz)。4Gバイトのメモリを内蔵しているが、ユーザー領域として開放していない。将来のソフトウェアアップグレードなどを想定したものだ。

 DLNAアプリの「SmartPlay by Twonky」は、DMP(プレーヤー)とDMR(レンダラー)の機能を持ち、ホームネットワーク内にあるDLNA対応のPCやスマホ(DMS:サーバ)から画像が動画などを再生できる。例えば手元のスマートフォンで写真をテレビ画面に映し出したり、ほかの部屋にあるPCから動画を再生するといった使い方ができる。対応フォーマットなどの詳細は公表されていないが、H.264、WMA、WMV、JPEGなどをサポートする見込み。

 なお、スマホ向けのTwonky BEAMと異なり、dstickでは著作権保護技術のDTCP-IPをサポートしていない。このため、Blu-ray Discレコーダーで録画したデジタル放送番組のネットワーク再生は不可だ。これはソフトウェアの問題ではなく、「CPUの処理能力や排熱を考えて採用を見送った」という。

ホーム画面(左)とコンテンツ詳細情報(右)

対応サービス 概要
dビデオ 国内外の映画、ドラマ、アニメ、音楽、カラオケからBeeTVまで、約7000タイトル、5万7000コンテンツを視聴可能
dアニメストア 「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」「けいおん!」などの人気作品約200タイトル、4000話以上を視聴可能
dヒッツ J-POPなどのヒット曲を中心に選りすぐりの楽曲を配信する全50番組を聴取可能
SmartPlay by Twonky YouTube動画や、ホームネットワーク上にあるPC、スマートフォンに保存された動画・音楽をテレビ上で再生可能

 実際にスマホ向けコンテンツサービスをテレビ画面で見ると、DVDレベルの720p(1080pに引き伸ばして表示)とはいえ、情報量が不足している印象は否めない。20インチ台のテレビならともかく、大画面になるとアラは目立ちそうだ。「dstickは、スマホを中心にテレビとの連携を考えたデバイスであり、テレビをメインに考えると別の選択肢もある。今回の発表でいえば、Twonky BEAMによるBDレコーダーや、ひかりTV STBとの連携が挙げられる」(同社)。

 もっとも、テレビに映像を映していればスマホで別のことができたり(ながら見)、前述のようにスマホで撮影した写真や動画をワイヤレスでテレビに表示する機能もある。スマホ向け映像配信の付加価値としては、面白いアイテムといえそうだ。

製品名 dstick
メーカー ネオス
CPU ARM cortexA5 800MHz
メモリ RAM:512Mバイト、ROM:4Gバイト
対応サービス dビデオ、dアニメストア、dヒッツ、SmartPlay by Twonky
通信機能 Wi-Fi(802.11b/g/n)、Bluetooth
インタフェース HDMI、microUSB(給電用)
サイズ/重量 82.5×11.7×27.2ミリ/約22.5グラム
操作デバイス Android 2.3以降のスマートフォン/タブレット

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