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» 2014年02月28日 21時28分 公開

本田雅一のTV Style:日テレの「Hulu」取得を“囲い込みではない”と考える理由 (2/2)

[本田雅一,ITmedia]
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 Huluを利用したことがある方ならば、そのコンテンツラインアップがやや古いことをご存知だろう。日本の感覚でいえば、地上波で無料放送していてもおかしくない程度のやや古いコンテンツが並んでいる。繰り返しになるが、”DVDやBlu-ray Discで単品販売されるコンテンツを、レンタルで借りる”という、プレミアムコンテンツ志向のサービスとは違う。

 また、日本でのHuluは当初より有料会員向けサービスとして始まった。当初は海外ドラマファンなどを集めたが、前述したようにHuluへの配信は、ほかのメディアやサービスに比べて遅い。配信タイミングをコンテンツの出し方によって変えることを”ウィンドウ”制御というが、Huluのウィンドウは遅いのだ。

 こうしたこともあってか、日本は世界でももっとも進んだブロードバンドインフラでありながら、Huluの日本における有料アカウントは100万人には大きく届かない程度といわれている(編注:加入者数は公表していない)。この程度の契約者数では、今後、大幅に伸びるシナリオが描けない。

 見方を変えると、日テレはHuluの有料視聴者をアテにして事業買収を行ったわけではない、ともいえる。テレビ保有世帯は関東地区だけでも1800万世帯以上。全国では4600万世帯以上。受像機数はもちろんもっと多い。CMから得られる収益なども勘案すると、映像配信サービスとテレビ放送の規模感やビジネスモデルの違いが大きく、100万人に満たない有料契約者の獲得を目指したとは考えにくいためだ。

 近年の日テレは、テレビ放送周辺のサービスを充実させ、本業であるテレビ放送からの枝葉を多く用意。従来の枠組みにとらわれない事業を目指している。データ放送を活用し、ネットワークサービスとテレビ番組を融合する「JoinTV」というコンセプトを打ち出したり、SNS上で盛り上がるテレビ番組を他局も含めて可視化するアプリを提供するなどの取り組みを進めてきた。

「JoinTV」といえば2012年の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版 TV版」(序、破)放送時に実施した連動企画「ヤシマ作戦」が有名。全国の参加者が「発電ボタン」を連打した (c)カラー

 その中で”囲い込み”を行うのではなく、オープンに他社への仕組みを提供する姿勢を見せている。例えばJoinTVであれば、NHKやWOWOWにもアイディアや技術の供与が行われている。Huluに関しても同じように他放送局との連携を考えているようだ。

JoinTVが提供しているオープンプラットフォーム。WOWOWなどの採用事例もある

 もちろん、日テレの誘いに他局が乗ってくるかどうかは分からない。しかし、ネットの世界では誰もがポータルになれる。これは放送免許という参入障壁があるテレビ放送とはもっとも異なる点。さまざまなコンテンツの出口に対して、相互乗り入れでコンテンツに触れる機会を増やす。そうした考えに辿り着けるのであれば、電波による放送に閉じてしまいがちな日本の映像コンテンツ産業に、新しい動きを作ることも可能かもしれない。

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