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日本の原風景を未来に残す――丸紅新電力からスタジオジブリとコラボした電気料金プランが登場

» 2016年03月15日 17時46分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 丸紅の100%子会社である丸紅新電力は3月15日、スタジオジブリとのコラボレーションによる新電気料金プラン「プランG」を発表した。3月1日に先行予約受付を開始した「プランS」に続く第2弾。経済性を打ち出したプランSに対し、プランGは電気料金の一部が“森と緑の保全活動”に充当されることが特徴になっている。「プランGのGはジブリのG、GreenのG。日本の原風景を残していくプランだ」(同社)。あわせてスタジオジブリ制作による「鳥獣戯画」をモチーフにした企業CMも披露した。

丸紅新電力の福田知史社長(左)とスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー(右)

 総合商社の丸紅は、1960年代から発展途上国への発電設備輸出などを通じて電力事業を展開してきた。近年は丸紅新電力を通じてB to B向けの高圧電力小売を手がける一方、電気の安定供給を目指して自社グループで独自の電源開発を進めている。2000年には壬生川水力発電所を買収、さらに福島洋上風力発電、三崎ウインドパワー、苫小牧のメガソーラーなど18カ所で合計538MWの発電容量を誇る。1つ1つの発電所は小規模でも「水と緑をうまく調和させて電気を作る」ことを目指しており、今回のコラボレーションもそうした姿勢を企業イメージに反映させたいという希望で企画した。

プランGの特徴

 料金体系はプランSがベース。基本料金はプランSに100円を上乗せした金額となり、また300kWhを超えたときに適用される第3段階料金でプランSより1kWhあたり1円多く徴収する。「地域にもよるが、プランSは(既存電力会社より)5〜10%安いため、プランGにしても今より安くなる」(同社)。

 集めた資金は「トトロの森のナショナルトラスト活動」(『となりのトトロ』で参考にされた狭山丘陵の自然を保全する活動)に使われるほか、三鷹の森ジブリ美術館に電力を供給するなど、その活動を支援する。また、プランGに加入した家庭には、スタジオジブリ監修の「オリジナル一輪挿し」がプレゼントされる。

  プランS(関東エリアの場合) プランG(関東エリアの場合)
基本料金(10Aごと) 280.80円/10A(40A未満の契約は1123.2円の最低料金となる) プランSの基本料金+100円
第1段階料金(〜120kWh) 19.43円/kWh 19.43円/kWh
第2段階料金(120k〜300kWh) 19.43円/kWh 19.43円/kWh
第3段階料金(300kWh〜) 29.93円/kWh 30.93円/kWh
※価格は税込。別途再生可能エネルギー発電促進賦課金と燃料費調整金が発生する
スタジオジブリ監修の「オリジナル一輪挿し」を紹介したのは4月から福田氏に代わって丸紅新電力の社長に就任する西山大輔氏

 スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーと一緒に登壇した丸紅新電力の福田知史社長は、「目指すところは“電気を買う”のではなく、プランGに“参加”してもらうこと。一緒に日本が目指すエネルギーを考えてほしい」と訴える。今後は「自然の中にある発電所をジブリのイメージで作ったり、プランGの“参加者”を対象とした発電所の見学会といったイベントも実施したい」という。さらに「美術館関連のイベントなども検討したいが、鈴木さんがイエスというか分からないので、ご機嫌をとりながらうまく“誘導”していきたい」として会場の笑いを誘った。

 丸紅新電力では、プランS、プランGともに4月から北海道、関東、関西、九州の4エリアで開始する予定で、既にWebサイトで予約を受け付けている。また6月をメドに東北、中部、中国の3エリアでも順次受付を開始する。「最終的には沖縄と四国の除く7エリアで提供したい」(同社)。

家庭を対象としたプランSの概要

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