プリンタドライバのユーザーインタフェースと付属の印刷ツール類は、ほかのPIXUSシリーズと同様だ。
ドライバの「ユーティリティ」タブ画面には、動作音を静かにする「サイレント設定」や、一定時間プリンタにデータが送られてこなかった場合に電源をオフにする「自動電源設定」などがある。電源オフまでの時間は、AC駆動時とバッテリー駆動時を個別に設定できるので、バッテリー駆動時は短めに設定しておいた方がよいだろう。設定可能な時間は、5/10/15/30分の4通りだ。
印刷ツール類では、手軽にフチなし印刷ができる「Easy-PhotoPrint」の利用頻度が高くなるだろう。操作は、印刷画像を選択し、用紙サイズと種類、レイアウトを指定するだけと簡単だ。
画質は、最近のキヤノンが力を入れている記憶色重視の「くっきりはっきり系」だ。画像によってはコントラストが高すぎる気もするが、“見た目”という観点ではうまい色作りだといえる。付属ツールのEasy-PhotoPrintから印刷すると、この傾向が顕著になる。PIXUSシリーズの上位モデルと比較すると、ハイライト領域や空間周波数が低い部分で粒状感が見えやすいが、欠点というほどではない。
なお、80iのドライバをインストールすると、純正専用紙の「プロフェッショナルフォトペーパー」、「スーパーフォトペーパー」、「マットフォトペーパー」に対応したメディアプロファイルも組み込まれる。このため、アドビシステムズの「Photoshop」や「Photoshop Elements」など、カラーマネジメントが可能なアプリケーションでは、メディアプロファイルを指定して印刷することにより、発色をユーザー側でかなりコントロールできるようになる。
もちろん、ディスプレイもしっかりキャリブレーションしていることが前提になるが、Easy-PhotoPrintの印刷が派手に感じる人は、ぜひ試してみてほしい。メディアプロファイルの使い方は、キヤノンのICCプロファイルガイドWebページで詳しく紹介されている。
次に印刷速度だが、L判の写真印刷が1枚あたり約2分というのは遅く感じる。上位モデルだと1分以内で終わるため、L判がメインの人にはつらいかもしれない。
バッテリーの持続時間と印刷可能枚数は、AC駆動でインクを新品に交換し、フル充電した状態から印刷を始めることでテストした。30枚のデジカメ画像をEasy-PhotoPrintでスーパーフォトペーパーのL版に1枚ずつ印刷し、バッテリーとインクが切れなければ同じ操作を繰り返した。
先に切れたのはカラーインクで、65枚目の途中でマゼンタがなくなった(1色が切れても印刷は継続される)。そこでカラーインクを交換して印刷を再開したが、トータル66枚目で今度はバッテリーが切れた。連続駆動時間は、約2時間30分である。
なお、今回の結果はあくまで一例で、インクの持ちは印刷する画像、バッテリーの持続時間は使い方によって大きく変動する点には留意してほしい。
80iは、使わない時は片付けられ、手軽に持ち運びできるのが最大の魅力だ。バッテリー駆動の需要は人それぞれだろうが、80iとACアダプタを携帯するだけでいろいろな場所でフォト印刷が楽しめる(公共の場所でACアダプタを使うのは電力の「窃盗」になるので要注意!)。オプションの「シガーライターパワーユニット」(9800円)や市販のインバーターを使って、車の中で利用する手もある。
省スペース性とモバイル性に目を奪われがちだが、性能的にはPIXUSシリーズのエントリーモデルにも引けを取らないので、1台目やメインプリンタとしてもおすすめだ。
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