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» 2004年10月06日 22時02分 UPDATE

CEATEC JAPAN 2004:お肌の触れ合い通信? 人体通信を試してきました

人間の体が、イーサネットケーブル代わりに。そんな人体通信を、実際に試してみた。

[新崎幸夫,ITmedia]

 「人体通信」。聞いただけでサイコな感覚がただようが、決して怪しい技術ではない。その証拠に、10月5日に開幕した「CEATEC JAPAN 2004」会場のNTTブースでデモが行われている。来場者は誰でも、気軽に試すことが可能だ。

 人体通信とは、文字通り「人体を通信経路(=導体)にする」技術(9月13日の記事参照)。有線でも無線でもない、新しい通信技術だとうたわれている。具体的には「人体上の微弱電界を光学式電界センサで検出することにより、TCP/IPで10Mbpsの双方向通信を実現する」(NTT)。

 10Mbpsといえば、10BASE-Tのケーブルで伝送できる速度。人体がイーサネットケーブルになるわけだ。なお、実効速度はもう少し落ちるだろうという。

 デモでは、サーバPCと銅版を敷いた台を用意。銅版の上に人が乗り、人体通信用インタフェースを備えた端末を持つことで「サーバPC発 〜 銅版 〜 人体経由 〜 持っている端末着」とストリーミング映像が伝送される様子を示していた。

Photo 台の上に乗って、黄色の枠内に足を踏み入れると人体通信が始まる
Photo PCの映像と、手に持っている端末映像が同じなのが分かるだろうか。ちなみに端末は、VAIO type Uの裏に人体通信用インタフェースを付けたものだった

 人体で通信する……と聞くと、素人考えでは「汗かきの人は電気を伝えやすいのか」とか「油症の人はどうなるのか」とか「体脂肪率が多いと影響あったりするのではないか」などと心配にもなる。しかし、これらの影響は気にせず済むという。

 なにしろ、靴を履いたままでも問題なく通信できるほど。「電圧信号を伝え、その電位変化をセンサで読み取る。銅版と人の間の『浮遊容量』が十分大きくなれば、電気信号は人に伝わる」(説明員)という。

 どちらかといえば、接触面と人体の距離が問題になる。「厚底ブーツなどを履かれると、難しい」(説明員)とのことだった。なお、通信中は「ビリビリ」と電気が走る……ような感覚はなく、何も感じなかったことを付け加えておきたい。

どう活用するか?

 ブースではほかに、端末IDを割り振った小さな四角いケース(下写真)を持って台に乗り、IDを認識させるデモも行っていた。ケースを手に持たずとも、ポケットの中に入れておくだけで動作した。

 これを応用すれば、「ポケットに『人体通信Suica』を入れておいて、手を触れるだけで改札を通過する」「財布に『人体通信Edy』を入れて、自販機のボタンを押すだけで決済する」といった利用も考えられる。こう考えると、FeliCaを上回る利便性を誇る、「夢の通信インタフェース」が誕生する可能性もある。

Photo NTTはこの技術を「ふれあい通信」と呼んでいる。モビルスーツ間の「お肌の触れ合い通信」ではないので注意が必要だ

 もっとも、現時点では技術の基本を確認した段階で「技術を商用化したいという声はかかっていない」状況という。今後の展開に期待といったところか。

 人体通信では「握手のうまいスパイ」に知らぬ間に情報を盗まれるのでは、と懸念した記者もいた。この問題はどうなのか、説明員に聞いてみた。

 「もちろん、双方が発信機をつけていれば握手で情報をやりとりできる。特に握手せずとも、服の上から触っただけで情報が伝わる」

 もっとも、端末を振るなど特定の動作で「起動」するよう設定するなど、通信に制限をかけることは当然可能。特定の場所でのみ通信を行うようにして、そこへの立ち入りに制限をかけるなどしてセキュリティを保証することは可能だとした。

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