携帯向けのH.264対応チップ〜TI「DM275」

» 2004年11月19日 05時02分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 TIは11月17日から19日にパシフィコ横浜で開催されている「Embedded Technology 2004」で、携帯電話向けDSP「TMS320DM275(DM275)」を展示している。

TMS320DM275

 DM275は、携帯電話向けに開発された映像処理用チップで、0.13μmプロセスで製造されている。ARM7コアとDSP、画像処理エンジンなどを1チップに統合している。H.264/MPEG-4 AVCのデコードに対応しており、1セグ放送受信端末などへの搭載が想定される。H.264はQVGA(320×240ピクセル)毎秒30フレームで、MPEG-4はVGA(640×480ピクセル)毎秒30フレームでデコードできる。AACなどに対応するオーディオエンジンも内蔵する。

 DM275の大きな特徴は2つある。1つはMPEG-2 TSの分離専用回路を内部に載せていることだ。このため、デジタルテレビチューナーから出力されるトランスポート・ストリーム (TS) をそのまま入力できる。

 もう一つは、DM275への電源供給がほぼ止まっているときに、外部から入力されたビデオ信号を超低電力で液晶にスルー出力できる点。例えば待ち受け時に着信があったときなど、DM275全体に通電せずに液晶パネルに文字表示ができ、消費電力を抑えられるとする。

DM275のブロック図。DM275に通電していない場合にビデオ信号をパススルーするためのOSD回路を搭載、消費電力を抑えられる

 DM275は、2002年の12月に発表された「TMS320DM270」の後継製品。TMS320DM270はMPEG-4 AVCのデコードに対応しており、FOMA D900iなどに採用されている。

TMS320DMシリーズのロードマップ。DM320以降はARM9コアになる。また、DM275のローエンドモデルも開発中だという

 DM275は、2005年第2四半期に出荷予定。価格は10ドル程度(100万ユニット時)で、ハイエンドだけでなく、ミドルクラスの携帯にも搭載できるとする。

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