巷ではナルミヤ君がケータイのテレビでサッカー観戦に燃えていたようですが(って、かなり古いCMですね)、個人的には全く興味がなかった。いや、むしろ「なんだよ、そりゃ」くらいの揶揄的な気持ちが渦巻きさえもした。携帯の小さい画面でサッカー観戦が楽しいか? 小さい画面を見つめる自分はわびしすぎないか? だいたい、端末買ったはいいけど、「ほとんど映らない」なんてことになるんじゃないの?
──とまぁ、実際使ったこともないくせに失礼なことばかり考え、「私の人生には関わってこないだろう」と思っていた。ところがauのテレビ携帯「A5511T」が私の手元にやってきてしまったのだ。モバイル編集部から有無をいわせず届いたときには心底驚いた。「四の五のいわず、とにかく触れ」ということらしい。
A5511Tを箱から出し、手に持ってみる。私が普段使っているFOMA「F900iT」よりもかなりコンパクトだ。なんでもこの携帯テレビはVHFとUHFに対応しているといい「む、設定が面倒なのかも?」と身構えてしまった。以前、HDDレコーダーで、UHFのチャンネルをセットするのに時間がかかった経験があったためだ。
ところが設定はあっけなく済んでしまった。「EZテレビ」ボタンを押すと「初期設定画面」が起動。それに従いながら画面を進めるだけで、いとも簡単にテレビ映像へとたどり着いてしまったではないか!「ケータイでテレビ」の敷居がこれほど低いとは……。いい意味で予想を裏切られるところから、テレビケータイとのお付き合いが始まった。
とはいえ、室内で受信したテレビ画像はほぼ砂嵐状態。画面下部のチャンネル表示とEZwebに連動したテレビ番組案内画面、「メニュー」ボタンの隣にある「番組情報」ボタンを押して概要をチェックしなければ、内容が全く分からない。家の中をうろうろし、窓際に持っていくとようやく人が動いているのが認識できるくらいにはなってきた。
A5511Tには、イヤホンアンテナのほかに、外付けのクリップアンテナが付属する。アンテナの全長が27センチと聞いて「気合い入ってるな」と感心したのだが、どれくらい映像に違いが出るものなのだろう?
携帯電話端末のみの場合は何が映っているか分からなかったが、イヤホンアンテナを装着するだけでもかなりきれいになる。さらに外付けアンテナを付けると、テロップがハッキリと読みとれるくらいの映りになった。これなら普通のテレビとほぼ遜色ない。もちろん受信感度は場所や地域によって異なるだろうが、わが家では劇的な効果が出たのだ。
ちなみに、A5511Tはアンテナが端末の先端部に入っているそうで、そこを手で触ると人間がアンテナの役割を果たしてテレビの映りをよくする、つまり「人間アンテナ」の役割を果たすのだという。その昔、「貼るだけでバッテリーの持ちがよくなる」というシートを試したことがあるが(2003年3月の記事参照)、これをほうふつとさせるような話だ。試してみると「あ、きれいになる!」──。ほーんの少し、キモチ、ですが。触った瞬間、画面に変化が起こることは間違いないようだ。惜しむらくは、役立つほどではないことか……。
さてバッテリーの話題が出たところで(?)、気になる「テレビを観ていると、あっという間に電池がなくなるのでは?」という点。結論からいうと、予想以上に長くテレビを視聴できた。フル充電した状態で1時間テレビを付けっぱなしにしておいても、まだ稼働している。「そろそろ頃合いかな」と思うこと10回以上、1時間30分近く経過したところで電池切れと相成った。
さて後編では、テレビ番組を観ながらの聴かせて検索やテレビ録画機能、外出先でのテレビの映りなど、気になったところを片っ端からチェックするのでお楽しみに。
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