コラム
» 2005年11月28日 18時28分 UPDATE

テレビ電話をかけない理由

FOMAを使い始めて1年。恥ずかしながら先日初めて、友達とテレビ電話で話した。「なかなか楽しい」と思いつつ「でも今後も使うことは滅多にないだろうな」と思うその理由は……。

[吉岡綾乃,ITmedia]

 先日、名古屋の友人からテレビ電話がかかってきた。海外に住んでいる共通の友達が遊びに来ているので、顔を見ようと東京の私のところへテレビ電話をかけてきてくれたのだという。友達の顔を見ながら話すのは、普通の電話よりたしかに楽しく、「ああ、テレビ電話ってこうやって使うんだな」とちょっと感慨深かった。

 感慨深かったのにはもう1つ理由がある。仕事関連以外では初めてかかってきたテレビ電話だったからだ。モバイル編集部に入ったのと同時にFOMAを使い始めた私のFOMA歴はちょうど1年。1年使っていて、初めて私用テレビ電話を体験したということになる。

 身の回りにドコモユーザーは決して少なくないのに、どうしてこんなにテレビ電話を使わないのだろう。思い至った理由は2つある。

“時間も場所も”共有するのは難しい

 私用で携帯をどのように使っているか思い返してみると、私の場合は圧倒的にメールが多い。家族へは「今から帰るね」と電話することもあるが、友達への連絡はほとんどメールだ。アドレス帳にも、メールアドレスだけ登録してあって、電話番号が書いていない友達がかなりいる。

 私の場合、通話せずにメールを送る理由は「相手が暇なときに返事をくれればいいから」だ。待ち合わせで会えない、など急いでいる場合でもなければ、友達に送る用事は「返事はいつでもいいよ」という場合が多い。相手は電車に乗っているかもしれないし、仕事中かもしれないし、お風呂に入っているかもしれない。通話はお互いに同じ時間を共有しなくてはならない。他愛のない用事で「いま、大丈夫?」と確認するのは、申し訳ないような気がしてしまう。

 普通の音声通話なら時間だけ共有すればいいが、テレビ電話ともなると場所も共有しなくてはならない。実は友達からテレビ電話がかかってきたとき、私は職場で仕事中だった。通話なら口元を手で押さえて、小声でひそひそ話しながら場所を移動すればいいが、テレビ電話ではそうはいかない。インカメラを起動し、スピーカーホンで話し声が筒抜けの状態で、私用電話ができそうな、かつ電波が安定した場所へ移動するのはなかなか大変だった。

 しかし職場にかかってきて困ったからといっても、「どこかに安心してテレビ電話ができる場所があっただろうか?」と考えると、いいところを思いつかなかったのも事実だ。自宅にいるときなどならいいが、寒空の下で風に吹きさらされながらでは通話してもいまいち楽しくない。しかし人と話すことの多い場所、例えばファミレスや喫茶店でも、携帯電話は禁止しているところが多い。「公共の場で堂々と電話(テレビ電話を含む)をかけていいところ」を探すのは、意外と難しい。

相手が対応しているか分からない

 もう1つの問題が「相手が対応しているかどうか分からない」だ。相手が対応していなければ、当然テレビ電話はかけられない。

 対応状況が分からない、というのはコミュニケーション系のサービスには必ずついて回る問題で、例えばメールの絵文字やデコメールなどでも「相手はこれが読めるんだっけ」とワンクッション考える必要がある。絵文字やデコメールといったメール系のサービスは、相手のメールアドレスが分かればだいたい想像が付くが、テレビ電話は相手がドコモのFOMAを使っているとか、ボーダフォンの3G端末を使っているという覚えがなければかけるだけ無駄だ。FOMAには「テレビ電話ができない相手にかけた場合、音声通話に切り替えて自動発信」という機能もあるのだが、初期設定ではオフになっているので、知らない人も多いだろう。

 テレビ電話はまだいい。ドコモはテレビ電話以外にも、新しいコミュニケーション系サービスを増やしつつある。「プッシュトーク」をかけたり(10月19日の記事参照)や「トルカ」を友達に送ったり(11月7日の記事参照)といったコミュニケーションは、目下FOMA 902iユーザーしかできない。これから対応機種は増えてくるだろうが、そのとき「あの人はあの機種を使っているから、この機能とこの機能は使えるはずだ」などといちいち覚えていられる人は少数派だろう。キャリア、3Gか2Gかに加えて、端末の種類まで覚えていなくてはならないのではユーザーの負担が大きすぎる。「相手の携帯はどのキャリアのものなのか」「どのサービスに対応しているのか」といった情報を、オンラインでアドレス帳に反映させて表示させるなどの工夫は今後必要になってくるのではないだろうか。

 私は仕事柄最新の携帯を持つ機会が多く、家族や友達に「こうやって使えるんだよ」と実際に使い方を見せることがある。「今の携帯はこんなことが出来るんだ!」と感心する相手の携帯を見せてもらうと、その機能が入っている端末を使っているのに気がついていない、という場面に何度となく遭遇した。「あなたの携帯でも同じことができるよ」と伝えると、決まって返ってくるのが「知らなかった。通話とメールくらいしか使わないから……」という返事だ。

 新機能を搭載した携帯電話は楽しい。しかし「新機能についていかれない」と感じているユーザーが多いのもまた事実だ。「自分と相手の携帯で何が出来るか」をユーザーに知らしめる努力が、今後は必要になるのではないだろうか。

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