ヤフー、携帯での位置情報検索サービスに参入 Interview:

» 2006年03月15日 17時23分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
Yahoo!リスティング事業部企画室の森有紀子氏

 「携帯で何かを検索しなくてはいけないようなときには、人は大抵切羽詰まっているんです。そんなときに、『都道府県……住所……カテゴリ……』なんて、やりたくないですよね?」そう話すのは、Yahoo!リスティング事業部企画室の森有紀子氏だ。

 3月14日、ヤフーは「モバイル版Yahoo!エリア検索」を開始した(3月14日の記事参照)。“求める情報を、どれだけ早く入手できるかにこだわった”というモバイル版Yahoo!エリア検索は、ほかの検索サービスとどこが違うのか。

 携帯電話用にエリア検索サービスを提供している企業はいくつかあるが、多くは地図コンテンツを持っている企業だ。さまざまなオリジナルコンテンツを持つヤフーが、携帯電話による地域情報検索に乗り出す意味とは?「携帯と位置情報」の可能性について、Yahoo!エリア検索を担当する森氏に聞いた。

「場所」と「施設」で直感的に検索

http://area-search.mobile.yahoo.co.jp

 Yahoo!エリア検索は、探している店舗や施設の情報を、エリアを指定して検索できるサービスだ。以前から「専門検索」の一部としてPC版を提供していたが、14日からは携帯電話で利用できる、モバイル版の提供も開始した(URLはhttp://area-search.mobile.yahoo.co.jp)。

 モバイル版では、2つ表示される検索窓に「場所」と「施設」を入力して検索する。例えば六本木でカフェを探したい、といった場合には、場所を「六本木」、施設を「カフェ」と入力する。このとき、携帯電話の位置情報を利用して「今、自分がいる場所の近く」から検索もできる。iモードではオープンiエリア、EZwebではGPS情報や基地局情報、ボーダフォンではボーダフォンライブ!の位置情報機能を利用している。

 検索対象となるのは、国内の店舗や施設、約900万件だ。検索結果は、基点とした場所からの距離が近い順に並べられ、施設名、電話番号、検索地点からの距離が表示される。Yahoo!トラベルやYahoo!ムービー、Yahoo!グルメなど、Yahoo!Japanが提供するほかのサービスに詳細情報が登録されている店舗・施設であれば、そのページに飛んでより詳しい情報を見られるようになっている点がポイントだ。検索の際に「(Yahoo!のほかのサービスに)詳細情報のある施設のみ」を検索することもできる。

 他の検索サービスとの違いは、大きく2つある、と森氏は話す。「1つは、実際に行ける場所の情報に限られているということ。店舗から提供された情報だけを載せているし、つねにデータを最新にしているので、『行ってみたらほかの店になっていた』といったことがありません。もう1つは、繁華街の名称で探せること」

使いやすさへの見えないこだわり

 通常、検索条件として場所を入力する際には、「東京都」→「港区」→「六本木」……というように、細かく指定しなくてはならない場合が多いが、ここの入力をできるだけ省力化し、しかも直感的にしているのがモバイル版Yahoo!エリア検索の特徴といえる。例えば上の例では、ユーザーは「六本木」と入力するだけでよく、自動的に(東京都港区にある)六本木“駅”とみなして検索がスタートする。六本木駅ではない場合は、「ほかの候補地」を選べば、「六本木一丁目駅」や「六本木ヒルズ」のほか、「ヴェルファーレ」や「森美術館」といった、“六本木にあるランドマーク”も表示されるのが面白い。

Yahoo!エリア検索のトップページにある入力ウィンドウは2つ。「場所」と「施設」だ。繁華街や著名な施設の名称で検索できるのは分かりやすい。繁華街の名称が必ずしも住所名と一致していない場合も多いが、「東京ディズニーランド(千葉県)」「先斗町(京都府)」「南京町(神戸市)」「秋葉原電気街(東京都千代田区、“秋葉原”という地名そのものは台東区にある)」といった“一般的な繁華街の名称”でも検索できるようになっている(左)。検索結果は、距離の近い順で表示される(中)。六本木“駅”でない場合は、ほかの候補地から選択できる(右)
検索結果一覧の中から1つを選ぶと、地図とともに、詳細情報が表示される(左)。この例では、施設についての情報をYahoo!トラベルから引っ張ってきている。そのままモバイル版Yahoo!トラベルにリンクしているため、このまま予約も可能(中)。もう1つ面白いのが、検索結果のページをブックマークしておくと、検索結果を基点にして、次の検索ができる機能だ。施設の名称、緯度経度を保持した状態で「その近く」の検索ができる(右)

 携帯電話での検索は特に、PCよりも画面が見づらい分、精度や見せ方、UIの善し悪しが問われる。「位置情報や地図サービスというと、地図の大きさや正確さばかりが問われがちですが、本当に大事なのは『求める情報をどれだけ早く入手できるか』のはず。UIが大切なのはもちろんとして、地図データの前に、(地図サービスを)使いやすくするためにできることはいっぱいあるはず」(森氏)

緯度経度をキーに、リアルとバーチャルが融合する

 直感的に場所を指定でき、「カテゴリ」が何に当たるか、などと考えなくても検索ができて、しかも検索結果が距離順にリストアップされるモバイル版Yahoo!エリア検索は確かに便利だ。しかし同様のサービスは例えば、auの携帯であれば、EZナビウォークの「目的地検索」などでも実現されている。

 しかし「今回はまだまだ第1フェーズ。もっと面白いことをやりたい」と森氏は話す。目的を絞った検索を目指すなら、もっと工夫の余地がある、と考えているためだ。

 「例えば、Yahoo!IDをベースに、住んでいる住所など、検索条件をパーソナライズしたり、興味があるジャンルを登録しておく、というやり方ができると思っています。現在は距離順のリストアップしかできませんが、将来的にはクチコミ情報などを登録できるようにして、『クチコミの評価順で表示』といったこともできるようにしたい。また、期間限定でイベントがあれば、そういう情報も提供できるはず。Yahoo!ブログや知恵袋、Yahoo!Shoppingといったコンテンツが持っている地域の情報を、緯度経度をキーにして、メタで検索できたらきっと楽しいはず」(森氏)

 もう1つ注目しているのが、“緯度経度をキーに、リアルとバーチャルを融合させる”可能性だという。「かつてインターネットでは、ネット上のバーチャルな人格と、リアルな自分の人格は分けているのが普通でした。でも、SNSが出てきたことで、リアルな自分とバーチャルな自分がつながる、という体験をするようになってきている。実際の自分には、住んでいるところとか勤務先といった『地域性』があるわけですが、バーチャルな場でも、『地元コミュニティ』の話題で盛り上がっていたりするんですね。地図が動くとか、地図に情報をプロットするということが技術として最近注目されているけれど、“その先”がきっともっと面白いはず。携帯のインフラが発展してきている今だからこそ、場所や興味の対象を、緯度経度をキーにして緩やかに探せるようなサービスが携帯で作れるようになると思う。将来的には、そういう姿を目指しているんです」(森氏)

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