ドコモが法人向けに展開するフルキーボード付きのWindows Mobile端末「hTc Z」。ワイヤレスジャパンに展示された実機で、使い勝手を試した。
まず、写真などでは把握しづらいサイズをチェックしてみよう。ドコモの「P902i」、モトローラの「ビジネスFOMA M1000」、ウィルコムのフルキーボード付きWindows Mobile端末「W-ZERO3」と比べると、P902iよりもひと回り大きく、M1000より若干小さい。そのため音声端末としてもさほど違和感なく使えそうな印象を受けた。スライド式のQWERTYキーボードを備えているため22ミリの厚みがあるが、W-ZERO3よりは薄く、P902iの最厚部とそれほど変わらない。
端末名 | サイズ(高さ×幅×厚み) | 重さ |
---|---|---|
hTc Z | 112.5×58×22ミリ | 約176グラム |
P902i | 102×49×18.3ミリ | 約109グラム |
M1000 | 117×59.5×21.5ミリ | 約168グラム |
W-ZERO3 | 130×70×26ミリ | 約220グラム |
W-ZERO3[]es | 135×56×21ミリ | 約175グラム |
会場にW-ZERO3を持ち込んでスペックや使い勝手を比較してみた。hTc Zの画面サイズは2.8インチで、解像度はQVGA。3.7インチのVGA液晶を搭載したW-ZERO3と画面の見やすさを比べると、hTc ZでもToday画面では1画面あたりの情報量で特に不満を感じることはなかった。しかしWebブラウザの閲覧では、3.7インチVGA液晶を備えたW-ZERO3の方が圧倒的に見やすく、やはりQVGAディスプレイでは狭く感じた。なお、QWERTYキーボードを引き出すと画面が横長に切り替わる点はW-ZERO3と同じだ。
hTc Zのフルキーボードは、W-ZERO3やW-ZERO3[es]より狭い幅の中にレイアウトされているが、キーのサイズ自体はhTc Zの方が大きい。キーの数はW-ZERO3より少なく、フレームレス構造のキーを採用することで入力するのに差し支えないサイズを確保している。キーは中央部が盛り上がっており、キータッチも柔らかく入力しやすい。
W-ZERO3[es]では、縦方向のピッチが狭くなったため、筆者の場合は指先でしかキー入力できなかったが、hTc Zでは指の腹でも十分キー入力を行えた。また両手で端末を持って左右の親指で操作を行なう場合にも、全体の幅が狭いため中央寄りのキーをどちらの指でも操作できるのは便利だ。
会場で試した限り、日本語入力操作はW-ZERO3と比べて遜色なかったが、エンターキーやシフトキーのサイズが同じである点や、特殊キーのほとんどを「●」キーと併用しなければならない点を考えると、操作のすべてをキーボードで行う場合は、W-ZERO3の方が使いやすい印象を受けた。またhTc Zでは[Enter]キーがほかのキーの中に埋もれており押し間違いやすいというという意見もある。
W-ZERO3で不満点として挙げられることの多いアドレス帳は、hTc ZもW-ZERO3と同様、Windows Mobileの「連絡先」をそのまま利用している。ただし同じWindows MobileでもhTc Zは「Phone Edition」を採用しているため、特にソフトウェアに手を加えることなく、一覧から選択するだけで音声発信やSMS/Eメールの作成などを行える。
なお、左側面に搭載するジョグは、スクロール操作のほか押し込みで決定操作を行える。一覧表示で項目間を移動する際のスクロール速度は極めて速く使いやすい。また、側面の[OK]キーは、待ち受け時にはスタートボタン、ウィンドウを開いているときには、クローズボックスのタップと同じ働きをする。端末を縦に持って使う際に、ジョグダイヤルと[OK]キーが役立つ場面は多い。
法人向けに展開することもあり、ドコモのネットワークに関連する部分以外は、「ほぼWindows Mobile OSの機能をそのまま搭載している」(ドコモ)というが、PDFビューワ、zipファイルの展開機能、ワイヤレスモデムとして利用する際の利便性を高めるユーティリティなどをHTCが追加している。無線LAN機能については、省電力モードなども備えるといい、「一概に比較はできないが、少なくともW-ZERO3よりはバッテリーで利用できる時間は長い」(ドコモ)としている。
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