ただ、額縁をギリギリまで削ぎ落とした端末に比べると、Xperia XZ2/XZ2 Compactは、18:9のディスプレイを採用しているとはいえ、上下の額縁がやや太めだ。これについては、アンテナ感度を優先したと染谷氏は説明。「われわれはアンテナ感度を高く設計している。その際重要なのは、どれだけアンテナの場所を確保できるか。そこに直結するのが上下の額縁部分。高い画面占有率がトレンドだが、実現したいアンテナ感度を含めたバランスを考えると、これが一番落ち着くと考えている」(染谷氏)
また、画面占有率を上げていくと、他モデルとデザイン上の違いが出しにくいという問題もあり「非常に苦労しているが、カラーマテリアル、表面処理のところで独自性を入れていきたい」と飯嶋氏は語った。
Xperia XZ2/XZ2 Compactは、スマホとして世界で初めて4K HDRビデオ撮影に対応した。より広色域、高精細、高コントラストを実現し、これまで肉眼でしか見られなかったような映像を記録できる。撮影時間は調整中だが、「10分以上を目指してやっている」(染谷氏)。
Xperia XZ2/XZ2 Compactが採用したフォーマット「HLG(Hybrid Log Gamma)」は、ソニーの「ハンディカム FDR-AX700」でも対応したもの。これに対応することで、例えばYouTubeに動画をアップロードすると、このフォーマットに対応した端末なら同じ高画質で再生される。ドラマや映画などの配信コンテンツもHDR化が進んでおり、これらをHDRで視聴することもできる。
HDRの静止画の場合、外が明るく、室内が暗いような場所でも、露出が若干異なる画像を1枚に合わせることによって、白飛びせず黒つぶれしない、肉眼に近い画像になる。HDRビデオ撮影は、これを動画でやってしまうという考え方だ。HLGフォーマットに従って撮影することによって、他の対応端末でも同じ高画質で再現される。
HDRビデオ撮影は、センサー自体にメモリを搭載した「Motion Eye」カメラシステムのメモリを使っている。1フレームに異なる露光の画像を合わせることによって、1コマ1コマ、しっかり見えるようにしていく。それによって見た目に近い映像を実現しているという。
同じ時期に発表されたSamsung Electronicsの「Galaxy S9/S9+」が960fpsのスーパースローモーションに対応したが、Xperia は1年早く導入していたことから、今回、一歩機能を進め、XZ2/XZ2 Compactはスーパースローモーション映像をフルHDでも撮影できるようになった。従来の(Xperia XZs/XZ Premiumで利用できる)スーパースローモーション映像は、約0.2秒間を約6秒の映像として記録するもので、解像度はHDサイズだった。
しかし主にクリエーターから「部分的に解像度がHDになると最終的に作品のクオリティーが落ちてしまう。全部をフルHDにしたい」という要望が非常に多かったという。今回の対応はそれに応えた形だ。センサー自体は従来と同じものなので、積層しているメモリのサイズも同じ。そこで、フルHDでスーパースローモーションにする場合は、0.1秒間を3秒間の映像として記録するようにした。初期設定ではHDのままだが、簡単にフルHD設定を変えられる。
また、人物やモノをカメラでスキャンし、3Dアバターを作れる「3Dクリエイター」は、このモデルからインカメラでのスキャンに対応した。スキャン時にはバイブレーションを使ったナビゲーションが表示される。撮影した情報はクラウドにアップロードされ、サーバで変換されて端末に戻す。その際、Xperia XZ1などで採用していた従来の方法では使い切れなかったデータを使うことで、細かい凹凸を表現できるようになり、よりきれいな3D画像になるという。
作った3D画像はクラウドでシェアすることも可能になり、Facebookが対応をアナウンスしている。アバター以外にも、例えば「子ども作ったものを3Dにしてアップし、それを遠隔地にいる家族や友人にぐりぐり動かしながら見てもらえる。オークションに出品するモノだったら、何度も角度を変えて写真を撮る必要がなくなるとか、3Dで見られるので売りやすくなるかもしれないという意見もあった」(染谷氏)。
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