Googleは1月28日、AdWordsのClick-to-Call広告プログラムから“β”の文字を外し、Webブラウザを備えたハイエンドスマートフォン経由でターゲットユーザーとつながる魅力的な新方式を広告主に提供開始した。
Click-to-Call広告は、広告主がモバイル検索広告に記載されたリンク先のURLに加えて、ユーザーにとっての最寄りの事業所の電話番号を付加できるというもの。AppleのiPhoneやGoogleのNexus Oneなどのスマートフォンのユーザーが携帯電話から地元の企業を検索して電話番号が記載された広告が見つかったら、その番号をクリックするだけでその企業に電話をかけることができる。
検索したユーザーの場所に基づいてClick-to-Call広告と対応する電話番号を表示するのには、Google MapsのMy Location機能が用いられる。
複数の事業所が存在する企業の場合、ユーザーにとって不要な電話番号は省かれて表示される。My Locationで採用されているセルラー三角測量技術により、例えば、ニューヨーク市にいるユーザーがレストランチェーンのTGI Friday'sを検索すると、検索結果に加えて、同チェーンがニューヨーク市内で営業する店舗の広告が表示され、ボストンの店舗の広告は表示されない。
広告主は、かかってきた電話の本数を把握することによって広告の効果を測定することができる。Googleはこういった広告方式を提供した理由、そして携帯端末からの検索とPC上での検索との違いについて、ブログ記事で次のように説明している。
人々が携帯電話を使って製品やサービスを検索する場合、彼らはその会社のWebサイトにアクセスしたいのではなく、そこに電話をかけたいと思っていることが多い。注文をするにせよ、席を予約をするにせよ、サービスについて問い合わせるにせよ、見込客がその会社に簡単に電話をかけられるかどうかが携帯電話での検索で重要な点であり、それがPCでの検索との大きな違いでもある。
米BroadPoint AmTechのアナリスト、ベンジャミン・シャクター氏は「広告主が電話1本に対して支払うクリック単価は、リンク先URLへのクリックスルーの単価と同じだ」と調査メモで述べている。
シャクター氏によると、モバイル検索のかなりの割合が電話番号やローカル情報を見つけるのが目的であるため、広告に関連付けられた電話番号は、検索エンジンの結果ページで非常に重要な要素になるという。さらに同氏は次のように記している。
その結果、携帯端末上のテキストリンク経由のクリックスルーよりも高い“コールスルー率”を期待できそうだ(結局、携帯電話の主な目的は電話をかけることなのだ)。この新モデルが広告主の間で広く普及すれば、モバイル検索の収益化が促進され、短期間でGoogleの収益に貢献するようになる可能性がある。
Googleでモバイル検索を担当するグループプロダクトマネジャーのポール・フェン氏は、Search Engine Landの取材で「当初の試験運用では、ローカル電話番号の掲載によって広告の効果が改善された」と述べている。フェン氏によると、Googleのβテストに参加した広告主の中には、PC向けの同様の宣伝と比べてクリックスルー率が30%改善したところもあったという。
シャクター氏によると、この方式の問題点としては、企業が電話問い合わせに対してお金を払いたがらない可能性があることだという。電話番号はオーガニック検索結果(有料登録やスポンサー広告などを含まない本来の検索結果)のページで見つけるものと考えられているからだ。このため、スポンサーリンクに電話番号を表示する機能をオプトアウトする広告主もいるかもしれない。
しかしClick-to-Call広告は、モバイルWebから収益を上げることを目指すGoogleの飽くなき意欲を示すものであり、同社が今後、GPSなどのロケーションベースの技術を通じてモバイル広告を活用する手段を追加提供するのは間違いなさそうだ。
Click-to-Call広告の仕組みに興味があれば、こちらの動画を参照するとよい。Click-to-Call広告を実装する方法の説明も記載されている。
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