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NEC社長交代 若返りで「クラウド」「グローバル」に注力

» 2010年02月26日 07時00分 公開
[ITmedia]
画像 遠藤常務(新社長)と矢野社長

 NECは2月25日、遠藤信博常務(56)が4月1日付けで社長に昇格する人事を発表した。矢野薫社長(66)は代表権のある会長に就任する。同日発表した2012年度(13年3月)まで3カ年の中期経営計画では、クラウドサービスや海外展開の強化を改めて打ち出した。

 12年度に売上高4兆円、営業利益2000億円、純利益1000億円、ROE(株主資本利益率)10%を目指す。成長のカギは、クラウドサービスと、新興国を中心にしたグローバル展開だ。

 クラウドサービスでは12年度に1兆円の売り上げを目指す計画。組織再編などで縦割りの組織に横串を通し、顧客のニーズに応じてネットワークやシステム、端末を組み合わせたサービスを柔軟に提供できる体制を構築。クラウドのグローバル展開にも力を入れる。

 携帯電話やPCなど「ユビキタスデバイス」は、国内向けは縮小を見込む一方で、海外向け携帯端末や、システムやインフラ、サービスと組み合わせたソリューション販売を成長させる戦略。AndroidなどオープンOSを活用したスマートフォンや新端末も投入する考えだ。

 「端末でユーザーを囲い込むようなKindleのあり方は面白く、新たなビジネスエリアだと思っている」と遠藤氏は期待。グループのNECビッグローブでAndroid端末と連携したコンテンツサービスを提供するなど、新市場に攻め込んでいく(BIGLOBE、Android搭載情報端末を発売へ アプリ販売する独自ストアも)。

 「クラウド時代はまさにC&C(Computer&Communication)が現実になる。ストライクゾーンに向けてボールを投げれば売り上げと収益が付いてくる」(矢野氏)

 海外市場開拓も加速。中華圏・アジア太平洋地域向け営業拠点を4月に設立するなどし、12年度に海外売上高1兆円を目指す。「国内市場は停滞し、新興国のチャンスは広がっている」――遠藤氏は、マイクロ波通信システム「PASOLINK」を新興国に売り込んで世界シェアナンバーワンに育てた経験を生かし、NECのグローバル化を目指していく。

 遠藤氏は1981年に東京工業大学大学院博士課程を修了し、同社に入社。モバイルワイヤレス事業部長、モバイルネットワーク事業部長などを歴任した。

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