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「スティーブ・ジョブズに訴えると脅された」 Sunの元CEOが語る

» 2010年03月11日 07時00分 公開
[ITmedia]

 「Googleには同情する。わたしもスティーブ・ジョブズに訴えると脅されたことがある」

 Sun Microsystemsの元CEO、ジョナサン・シュワルツ氏が、Appleが最近、端末メーカーHTCを相手取って起こした訴訟について、自身のブログでこのようにコメントしている。この訴訟はHTCに対して起こされたものだが、真の標的はGoogleとAndroidと多くの業界関係者は考えている

 シュワルツ氏によると、同氏が2003年に3Dデスクトップ「Project Looking Glass」を発表したとき、ジョブズ氏から電話がかかってきたという。ジョブズ氏は、Looking GlassがAppleの知的財産(IP)に抵触しており、もしも同技術を商用化するなら「君を訴える」と告げた。

 同氏はこれに対して、「スティーブ、君の前回のプレゼンを見たよ。KeynoteはConcurrence(Sunが1996年に買収したLighthouse Designという企業のプレゼンソフト)と同じように見えるけれど、君がIPを持っているのかい?」と答えた。さらにシュワルツ氏はこうも語った。「それから、今のMac OSはUNIXベースだよね。Sunは幾つかOS特許を持っていると思うんだけど」。ジョブズ氏は黙り込み、この話はそれで終わった。後にSunはLooking Glass開発をやめたが、知的財産とは関係のない、ビジネス上の決定だったという。

 シュワルツ氏は、特に訴訟を防ぐための防衛手段として「特許の重要性を理解している」と語りつつも、特許を攻撃の手段として使うことには否定的な見方をしている。IT企業がソフトウェア特許を使って攻撃に出るのは、「市場の代わりに裁判所に頼っている、破れかぶれの行動」のように見えると同氏は述べている。

 競合企業を特許侵害で訴えることは、ライバルの力を削ぐどころか、逆効果になるとも同氏は指摘している。同氏は例として、NokiaがAppleに対して訴訟を起こしたが、iPhoneの勢いは衰えていないどころか加速しているとしている。また、Appleの対HTC訴訟によって、かえってAndroidへの関心が高まっているとも語っている。

 シュワルツ氏は、Microsoftのビル・ゲイツ氏とスティーブ・バルマー氏からも訴訟を起こすと脅されたことがあるとしている。Microsoftはオフィススイートに関連する特許を持ち出してきたが、このとき同氏は、.NETがJavaの特許に抵触している可能性を指摘して反論したという。

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