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オタク市場、不況でも「非常に健闘」 同人誌は「ネガティブなイメージ軽減」

» 2010年10月15日 16時52分 公開
[ITmedia]
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 矢野経済研究所がこのほど発表した2009年度の「オタク市場」についての調査結果によると、恋愛シミュレーションゲームや電子コミック、同人誌などの市場規模が成長していることが分かった。不況の影響でさまざまな産業が市場規模の縮小を強いられている中、「オタク市場は非常に健闘している」という。

 「一定数のコアユーザーを有するとみられ、オタクの聖地である秋葉原などで扱われることが比較的多いコンテンツ」をオタク市場と定義。「アニメ/コミック」「オンラインゲーム」「恋愛シミュレーションゲーム」「同人誌」「フィギュア」「アイドル」など12ジャンルについて市場規模を前年と比較した。

 成長が著しいのは恋愛シミュレーションゲームで、前年度比83%増の86億円に拡大。「ラブプラス」人気や、ここ2〜3年の女性向け恋愛シミュレーションゲームのユーザー増がけん引している。オンラインゲームも、ソーシャルゲームの成長に伴って同17.2%増の422億円になった。

 紙のコミック市場は縮小傾向だが、電子コミックは同29.8%増の422億円に。ブロードバンドの普及や端末の高機能化によってストレスなく閲覧できるようになったことや、紙よりも安価なことなどが理由とみられ、今後はスマートフォンやiPadの普及でさらなる拡大が期待されるとしている。

 同人誌は同4.7%増の640億円。同人誌や同人イベントの認知度向上、ネガティブなイメージの軽減により、数年間で急激に新規ユーザーが増加したと指摘。ダウンロード販売で簡単に入手できるようになったことも大きく貢献しているという。

 フィギュアは同2.9%増283億円と堅調に推移している。不況や市場の成熟で拡大幅は縮小する一方、5000円以下の手ごろな「ギミック付きフィギュア」や「デフォルメフィギュア」が幅広い人気を集めていると指摘している。

 アイドルは、08年度以降拡大傾向にあり、同1.9%増の542億円だった。CDや書籍に付いてくるグッズやイベント参加券を求め、同じ商品を大量購入するなど熱心なファンの存在や、イベントなどのファンサービスに積極的な芸能プロダクションが拡大を支えていると分析している。

 オタクという言葉に関するイメージも変化しているという。「オタクだと言われたことがある」か、「自分をオタクだと思う」と答えた人の合計は約20.4%(今年7〜10月にネットアンケートで調査。有効回答1万487人)。「オタクという言葉が一般的になり、ネガティブな意味合いが薄れつつあることがうかがえる」としている。

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