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クーポンでにぎわう「大人の街」――広島の“1000人合コン”を見てきた(2/2 ページ)

» 2011年09月16日 17時42分 公開
[本宮学,ITmedia]
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photo 大木社長

 「地方都市にはシャッター街が増えている。広島の中心街である流川・薬研堀地区はまだ盛り上がってはいるが、一時期ほどの勢いはないと感じる。何より、街を訪れる若者の数が減っている」と大木社長。そこで、自社のクーポンサービスを活用した地域活性化イベントを――という発想で、ひろコン!の計画を始めたという。

 ひろコン!の参加者集めに当たっては、「マスメディアとソーシャルメディアを組み合わせた」と大木社長。記者会見を通じた地方紙などのマスメディアによる情報発信と、TwitterFacebookの公式アカウント(大木社長のアカウントを含む)による情報発信、イベント参加者自身によるSNS上での情報拡散を組み合わせることで、ひろコン!の知名度と注目度を向上させていったという。「ソーシャルメディアによる情報発信は、それ単体ではうまくいかない。マスメディアと組み合わせることで、広告に興味を持たないような若い人たちにも情報を届けられる」

photo クーポン販売ページ

 また、参加のために必要なクーポンの販売方法も工夫した。同社が手掛けるフラッシュマーケティングの手法を活用し、男女各300枚ずつ、合計600枚が事前に売れないとイベントを開催しない――という方式をとった。また、クーポン購入ページ上には「目標枚数まであと何枚」「売り切れまであと何枚」といったカウントを表示。参加希望者の「みんなで行こう」という共同購入意欲を喚起させる狙いが当たり、残り枚数が少なくなるにつれて売れ行きが伸びていった。

 その結果、開催3日前にクーポンは完売。追加販売も行ったが、特に女性分はキャンセル待ちによって「一瞬で」売り切れたという。開催当日、会場には当日券を求める人々が集ったが、「さらなる追加販売はできないので、女性分はお断りしている状況」だった。

photo 受付会場には多くの人々が

“おせち問題”を乗り越え、商店街の一員に

 かつて“おせち問題”が起きてしまったように、「フラッシュマーケティングでは負のスパイラルが起こりやすい」と大木社長。クーポンサイトの運営元と参加飲食店、クーポン利用者のうち、どこかが一方的に利益を得られるシステムだとクーポンビジネスはうまくいかないという。そこで、ひろコン!の運営に当たっては、CooPa側のメリットを「参加飲食店との関係づくり」と割り切り、得られた収益は参加飲食店に還元。自社に利益が出ないよう徹底したという。

photo 大木社長は「広島の飲食店はフレンドリーで、お客さんとの関係が生まれる。(クーポンによる)新規顧客の呼び込みの効果は高い」と話していた

 今では、流川・薬研堀地区の飲食店に行くと「『大木さん、ひろコン!応援していますよ』と声をかけてもらえるようになった」と大木社長は言う。「地方都市でビジネスをするには、街に受け入れられるかどうかが重要。ひろコン!の企画を始めてからは、地域の多くの飲食店がCooPaを応援したいと思ってくれるようになった。商店街の一員になったような感覚で、街に受け入れられているのを感じる」

 実際に、ひろコン!の企画を始めてからは、本業であるクーポンビジネスの受注件数も増えたという。だが「今後は対象地域を増やすことはせず、同じ地方都市でこうしたイベントを定期的に開催していく」という。ひろコン!の次回開催も既に決定しており、今度は100店舗以上の飲食店に男女2500人を集める大規模イベントになる予定だ。

 「東京や大阪ではグルーポンやポンパレを中心とした各クーポン事業者がひしめき合っていて、既に市場も縮小してきてしまっている。CooPaは特定の地方都市にターゲットを絞り、店単体ではなく街全体を活性化させる施策を行うことで、その地域では『クーポンといったらCooPa』といった位置付けになっていきたい」(大木社長)

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