さて、Re:Diveからプレイしている多くのプレイヤーの諸君にはここまでの話は正直ちんぷんかんぷんだったのではないだろうか。
レジェンド オブ アストルム? mimi? そんな話は聞いたこともないし、このゲームは正統派ファンタジーRPGではなかったのかと。
Re:Diveのあらすじを紹介する。アストライア大陸の某所で目覚めた主人公。どうやら記憶を全て失っているようだ。そこに現れたガイド役、エルフ族の「コッコロ」と名乗る少女は、主人公のことを「あるじ様」と呼んで、かいがいしく世話をしてくれる。
続けて現れた謎の少女が、コッコロの用意してくれた食事を一気に食べ尽くし、自分たちを勝手に恩人認定してくる。さらに、謎の大食い少女を追いかけてきたと見られる魔物の集団に追われて、コッコロと自分、大食い少女「ペコリーヌ」は戦いに巻き込まれることになる……。
Re:Diveの主人公は前作と同一人物であることが度々言及されているものの、記憶を失っているどころか、一般常識もほとんどが失われている。
例えば貨幣を口にしたり、文字が読めなかったり、多くの人に「赤ちゃんみたい」と言われてしまったりする始末である。それだけではない。Re:Diveの登場人物はほとんどが前作からの続投で同一人物なのだが、どうやら現実世界のことがすっかり記憶から失われてしまっているようなのだ。
例えば主人公と同じギルドで、現実でも同じクラスに通っていたはずの草野優衣は、アバターの「ユイ」としてこのアストライア大陸で生活しており、主人公のこともすっかり忘れ去っている。
ストーリーを進めていくと、とある重要人物が「これはゲームじゃなくて現実だから」とうそぶく場面が登場する。前作のプレイヤーからするとVRゲームの中の出来事だと思っていたのが、まさか現実?
ここからは筆者の推測だが、どうやら前作のラストバトル後、何らかの原因でmimiが暴走し、プレイヤー全員から現実の記憶を失わせ、ログアウトできないようにされているのではないだろうか?
脳波に干渉可能なmimiだからこそ可能な、とても恐ろしい現象である。この現象を引き起こしているのは誰なのか。何の目的があるのか。それはこれからゲーム中で語られていくことになるだろう。
Re:Diveはアニメ化も決定している。今回の講義を聞いて興味の出た諸君は、ぜひプレイしてみてほしい。
いかがだっただろうか。
脳波を利用する脳波認証は有望そうな気はするものの、脳波に干渉するVRゲームや、「常に認証し続けている世界」はちょっと怖いような気もする。実際に2030年のわれわれはどんな環境で、どんなゲームで遊んでいるのだろうか。想像を巡らすのも面白いだろう。
さて、次回はあの古典名作SF映画「ターミネーター2」を題材にしたいと考えている。どのあたりに認証のタネがあるのか、楽しみにしていてほしい。
それでは今回の講義はここまで!
朽木 海 (ライター、編集者、γ-Reverse代表)
ゲーム会社や出版社などの「IPが欲しい会社」と、ライトノベル作家や脚本家、漫画家などの「IPを作りたいフリーランス」を繋げるためのプロジェクト「γ-Reverse」の代表。引き続きライター業や編集者業も行っています。
ITを活用する上で無視できない認証とセキュリティの話題を、楽しく分かりやすく伝える認証セキュリティの情報サイト「せぐなべ」。運営企業のパスロジは、企業向け認証プラットフォーム「PassLogic」や個人向けパスワード管理アプリ「PassClip」などを提供。ITmedia NEWSで認証関連の話題を分かりやすく解説する「今さら聞けない「認証」のハナシ」を連載中。
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