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» 2004年03月05日 20時59分 UPDATE

Appleの「大番頭」が語る、小売り戦略、iPod/iTunes、そして長期戦略

Appleの財務責任者である二人が、同社の戦略について具体的な考えを明らかにした。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 Appleの現CFOであるフレッド・アンダーソン氏と、次期CFOで企業調整役の任を負っているピーター・オッペンハイマー氏はMorgan Stanley Semiconductor & System Conferenceで投資家とアナリスト向けに講演を行った。約45分のセッションの間、オッペンハイマー、アンダーソン両氏はAppleのビジネス戦略、iPodとiTunesの成功、売り上げを増やし、マージンを上げるためにどのような計画を練っているかといった興味深い問題について話をした。

 アンダーソン氏は、ここ数年来の不況にもかかわらず、Appleは年次の研究開発費を1999年の3億ドルから現在では5億ドルにまで増やしていると指摘。その結果としてMac OS Xのメジャーリリースを4回、Xserve、Power Mac G5といった新しいハードウェア、iアプリケーションの開発、そしてもちろんiPodとiTunes Music Storeが登場したのだと述べた。

販売機会を、より幅広くコントロール

 アンダーソン氏はAppleの小売り戦略についても語った。Appleは米国で、そして最近では東京でも小売りストアをオープンし、その数は70店以上。アンダーソン氏の説明によれば、Appleは「販売機会を、より幅広くコントロールしようとしている」という。

 Appleの長期的な小売りストア計画についてアンダーソン氏は、「われわれはGateway的戦略はとらない」と述べた。Gatewayは最近、2000人の従業員をレイオフする憂き目に遭っている。Gatewayは米国で数百もの独自店舗をオープンしたが、いまだに収益を上げていない。

 「われわれが興味を持っているのは利益を上げられる店だけだ」とアンダーソン氏。Appleの目標は、市場を飽和させることではない、と同氏は強調する。アンダーソン氏は、Appleではすべての小売りストアに対し、オープン後1年以内に黒字化することを求めていると説明する。

 「小売店の売り上げ増については、ロン・ジョンソン小売り担当上級副社長が取り組んでいる」とアンダーソン氏。

 その目標を達成するため、Appleは、10年以上にわたって特殊市場へのアクセスを確保していたApple Authorized Resellersと距離を置こうとしている。アンダーソン氏によれば、Apple小売りストアでは、中小企業向け販売専門の従業員を、最低でも1名ずつは置くようにするという。

 「スイッチ」広告キャンペーンはApple小売りストアの初期においては強力なテーマだった。アンダーソン氏によれば、Apple小売りストアで販売されたコンピュータのうち、40%から50%が非Macユーザーによるものだった。

iTunesとiPod

 iTunes Music StoreとiPodを使って音楽を販売しようというAppleの取り組みに関する質問に対し、アンダーソン氏は「走者一掃の満塁ホームランだ」と答えた。米国における合法的音楽ダウンロード販売の70%がAppleのものだ、と同氏。iPodの売り上げはMP3プレイヤー全体の50%以上だ、という。

 「トータルな市場で競争力を持っているというのは、5%以下の世界で競っているのと比べると、気持ちがいいものだね」とアンダーソン氏。Appleの経営チームでは、Best Buy、Circuit City、Targetといった大手小売りチェーンを使った「広範囲な流通方法」により市場での優位性を保つ計画だという。

 オッペンハイマー氏は、AppleがHPと提携し、HPブランドのiPodを売ることについて、「両社にとってウィン/ウィンの関係だ」と述べている。HPはベストセラーのMP3プレイヤーを手にすることができ、Appleとしては、多くのHP製デスクトップマシンにiTunes for Windowsをインストールさせることができる。

 HPはヨーロッパとアジアにおいてはAppleよりも広範囲な購買者へのリーチを持っていると指摘。さらに、AppleがHPと手を組んだ後、次々に提携していくというわけではないと述べた。HPとAppleには手を組む理由がある、と同氏。

 デジタル著作権管理(DRM)、主要音楽ダウンロードサービスが採用したオーディオ標準、大容量MP3プレイヤーなどの競合技術、競合製品について、批評家らは声高に叫んでいる。アンダーソン氏はiPodの現在の市場における優位な立場を挙げ、AACとFairPlayは「強力な勢い」で標準として確立しつつあると述べた。

 「だから、われわれはミュージックストアへのトラフィックによりiPodの売り上げが増え、iPodの売り上げはMacの販売に結びつくと考えている」とアンダーソン氏。いまはPCを使っているiPodユーザーが、後で別のシステムのことを考える。そのときにはMacを好ましく思う。そうすれば、「また別のライフスタイルアプリケーションを手にすることができるからだ」と同氏は説明する。

Appleの財務的未来

 Appleは引き続き利益を生み出しており、最近は無借金経営となった。ただし、同社の財務体質が健全である証拠は、これだけではない。オッペンハイマー氏は、Appleの目標は、「トップとボトム、その両方を伸ばすことだ」と主張する。

 「われわれは再び10億ドル企業になりたいと考えている」とオッペンハイマー氏。「われわれは毎年15%ずつ売り上げを伸ばし、目標に到達したい」と同氏。

 2003会計年度、Appleは純売り上げで62億ドルを記録した。オッペンハイマー氏によれば、Appleの粗利率は27〜28%で、営業経費は20〜21%だという。営業利益は7%ということになる。

「80億ドル企業だった2000年には、Appleの営業利益率は8%だった。だから、この範囲のことは過去に実現していたのだ」とオッペンハイマー氏。営業マージンは、Appleの研究開発と直販のおかげでそれほど高くならないだろうと同氏は言い添えた

 Appleが安価なMacを市場に投入していないという批判的な攻撃もある。最も低価格なMacは、CRTベースのeMacで、価格は約800ドル。WindowsベースのPCならば、半分の価格でかなり高いクロックスピードのマシンを購入できる。iMacの価格は最低でも1300ドルする。

 「われわれは400、500、600ドルのPCはターゲットにしていない。そこで革新し、差別化するいい方法があるとは思えない。それに、そこでたくさんの利益が上げられるとは考えていない」とオッペンハイマー氏は結論付けた。

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