コンパクトなボディにLレンズ&800万画素CCDを搭載――キヤノン PowerShot Pro1(1/5 ページ)

» 2004年03月24日 22時03分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

コンパクトデジカメで初めてLレンズを搭載

 これまでキヤノンのコンパクト系ハイエンド機は4倍ズーム、500万画素の「PowerShot G5」だったが、2004年春、CCDの800万画素化を機に、まったく新しいデザインの最上位機種が現れた。それが「PowerShot Pro1」である。

 デザイン上のポイントは2点。一つはサイズ。幅117.5×奥行き90.3×高さ72.0ミリ(突起部を除く)と、同時期に登場した800万画素ハイエンド機の中ではひときわコンパクトで、幅や高さはPowerShot G5よりも一回り小さい。搭載するCCDは、PowerShot G5が1/1.8インチなのに対し、PowerShot Pro1は2/3インチと大きくなっているのだが、ボディは小さくなったのである。このぎゅっと締まった精悍さはなかなかよい。

 もう一つはレンズ。PowerShot Pro1はコンパクトデジカメで初めて「Lレンズ」を搭載した。同社製35ミリ一眼レフカメラ「EOS」シリーズ用のレンズには「EF LENS」シリーズがある。その上位モデルにのみ冠されている“L”(Luxuryの意)は、蛍石レンズやUD(Ultra Low Dispersion)レンズといった、特殊光学材料を採用した高性能レンズを表す称号で、PowerShot Pro1では蛍石レンズ1枚とUDレンズ1枚を使用している。レンズ部のデザインも、EF LENSシリーズのLレンズと同様に、赤いライン入りである。

ズームリング連動の電動ズームを装備

 PowerShot Pro1のレンズは28〜200ミリ(35ミリカメラ換算)の7倍ズームで、開放F値はF2.4〜3.5。レンズ径の割に明るく、ズーム域は扱いやすくて重宝する。レンズは沈胴式で、スイッチを入れると約2センチ飛び出てくる。


レンズの繰り出し量はかなり大きい。一番上は電源オフの状態。電源をオンにすると2センチほど飛び出てくる(中央)。これが28ミリ相当で、テレ端(200ミリ相当)まで伸ばすとレンズもそれに合わせて伸びる(下)。写真は製品付属のレンズフードを取り付けて撮影している。ちなみに、レンズはかなり飛び出すけれども、レンズ自体はそう重くないので重量バランスが気になることはない。レンズには実焦点距離と35ミリ換算の値が目安として刻印されている

 ズーミングはズームリングを回すことで行うのだが、これがかなりユニークだ。ズームリングを回すと電動ズームが働いてズーミングするという仕組みになっているのだ。ゆっくり回すとだいたい半周で28〜200ミリまでズーミングする。

 ユニークなアイデアで面白いのだが、違和感を感じる点が3つある。

 1つ目は、ズームリングを回してからレンズが動くまでにちょっとタイムラグがあること。

 2つ目は、ズームリングを回すスピードや回した量と、レンズの移動速度や移動量が無関係なこと。つまり、ズームリングを速く回そうが遅く回そうが、レンズの移動速度は変わらないのだ。逆にいえば、ズームリングをいくら速く回してもレンズが素早く移動するわけではないので、慌てるとズームリングを何回も回してしまう羽目になる。

 ズームリングを速く回すと目的の焦点距離までレンズが素早く移動すると思うのが、一般的な感覚だろう。電動ズームにも、ズームリングを回すトルクや回転量に応じてレンズの移動速度や移動量が変わるという工夫がほしかった。

 3つ目は、電動ズームゆえに焦点距離の微調整ができないこと。手動ズームなら任意の焦点距離に合わせられるが、電動式だとズーミングのステップが決まっているので、なかなか希望のところでピタリと止められないのだ。電動ズームでは当たり前のことだが、ズームリング式を採用したがゆえに気になってしまうのである。

 「違和感」と書いたが、実際には、慣れてしまえばどうということはないだろう。しかし、例えば電源を入れてすぐワイド端からテレ端へズーミングしたい時などにはイライラするかもしれない。

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