きょうはLGA775対応Pentium 4&Intel 925X/915Gでベンチをまわして熟考した(前編)(1/2 ページ)

» 2004年06月23日 18時25分 公開
[佐藤哲,ITmedia]

 新しいCPUソケット「LGA775」に対応したPentium 4プロセッサ(以下Pentium 4)と、LGA775、さらには新しいバスアーキテクチャとなるPCI Expressに対応したIntel 925X Expressチップセット(以下、Intel 925X)、Intel 915G/P Expressチップセット(以下、Intel 915G/P)がインテルより発表された。

 発表内容に関しては、別記事を参照していただくとして、ここでは、LGA775対応Pentium 4とIntel 925X、Intel 915Gの実力をベンチマークテストを駆使してチェックしていく。

デスクトップで初となるプロセッサナンバ導入のLGA775対応Pentium 4

 今回登場したLGA775版Pentium 4は、開発コード名「Prescott-T」と呼ばれるコアで、90ナノプロセスルールで製造されている。Prescott-Tの“T”はPrescottの後継として開発されて「いた」TejasのT。LGA775はTejasが使えるソケットという意味でSocket-Tという開発コードネームで呼ばれてきた経緯がある。

LGA775対応CPUの下部。ピンはなくなり接点だけが用意されている

 その機能そのものは、12Kのトレースキャッシュと16Kバイトのデータキャッシュで構成されるL1キャッシュ、1MバイトのL2キャッシュという組み合わせになっているなど、基本的な構成はmPGA478対応Prescottと変わっていない。大きく変わったのは形状。CPU側にはピンがなくパターンだけが用意されており、ソケット側にピンが用意される新しい構造となっている。

 このため、LGA775対応のプラットフォームでは、マザーボードの取り扱いに注意が必要になる。従来のCPUでは、CPUを取り扱うときにピンが曲がらないように注意する必要があったが、今後はマザーボードのCPUソケットに専用のカバーを取り付けるなど、細心の注意を払って取り扱うようにしたい。

 LGA775のもう一つの特徴は、ピン数が増えたことでより安定した動作が期待できるようになったことだ。90ナノプロセスルールを採用したPrescottでは、0.13マイクロプロセスルールのNorthwoodに比べて消費電力が増えており、大量の電流を供給する必要がある。mPGA478では十分なピン数が確保されていなかったため大電流供給が難しいかったが、LGA775ではピンアサインの見直しも行われ、電源やグランドにアサインされるピンが増えたため、より安定して動作させることが可能になった。

 ただ、そうした影響もあって、消費電力に関してはmPGA478対応Prescottに比べてさらに増えてしまっている。例えば、動作クロックが同じ3.40GHzで比べると、mPGA478対応の熱設計消費電力が103Wであったのに対して、LGA775対応では115Wとなっている。

 消費電力が増えたことで、CPUクーラーもリテンションキットに取り付ける従来の構造から、4カ所のバネを利用して簡単に取り付けられる形状に変更された。また、ファン用電源のピン数が3ピンから4ピンへと変更され、ファン回転数のコントロールが可能になった。このおかげで、フルロード時の回転数は上がったものの、通常利用時にはファンの電源を落とすことも可能であるため、システムがアイドル状態でCPUをフルに利用していない場合には、ファンを止めて騒音を抑えることもできるようになっている。

 なお、今回のLGA775版Pentium 4から、グレード表記が従来までのクロック表記からPentium Mと同じようにプロセッサナンバと呼ばれる型番表記に変更され、動作クロックが3.60GHzで560、3.40GHzは550などとなっている。

プロセッサナンバ動作クロックFSBTDP
5603.60GHz800MHz115W
5503.40GHz800MHz115W
5403.20GHz800MHz84W
5303GHz800MHz84W
5202.80GHz800MHz84W

PCI Express、DDR2などの新機能に対応したIntel 925X、Intel 915G/P

 LGA775対応CPUと同じタイミングで登場した新チップセットがIntel 925X、Intel 915G/Pだ。インテルがLGA775との組み合わせで動作を保証しているチップセットは、Intel 925X、Intel 915G/Pのみであり、Intel 875P/865など過去のチップセットとLGA775の組み合わせは「正式には」サポートされない。

 ただ、マザーボードベンダーが独自に取り組んでいる例はいくつかあるので、必要であればそちらを選択するという手はある。なお、サードパーティのチップセットベンダーからも、LGA775に対応したチップセットが今後登場する予定で、VIAはPT890を、SiSはSiS656、ATIはRS400などをCOMPUTEX TAIPEI 2004で展示していた。

 Intel 925X、Intel 915G/Pの特徴はなんといっても、「ほぼすべてが新しくなっている」という点だ。ノースブリッジで言えば、CPUソケットはLGA775となり、GPUとの接続はAGP 8X(最大帯域幅2.1Gバイト/秒)からPCI Express x16(同じく双方向で4Gバイト/秒)へと変更、メインメモリは新たにDDR2-533に対応し、サウスブリッジとなるICH6との接続はハブリンク(266Mバイト/秒)からDMI(Direct Media Interface、2Gバイト/秒)へと変更されている。

Intel 925X(上)とIntel 915G(下)のブロック図

 PCI Express x16は双方向でそれぞれ4Gバイト/秒の帯域幅を実現しており、今後GPU側が標準のバスとしてサポートする予定になっている。ただ、現時点でATIがPCI ExpressネイティブのGPUをリリースしているが、アーキテクチャそのものはAGP版のGPUとほぼ同等になっているなど、まだまだPCI Expressの性能をフルに引き出すような状況になっていない。

 また、NVIDIAはHSEと呼ばれるPCI Express─AGPブリッジを利用した構造にしているため、どうしてもブリッジチップのレイテンシの問題が発生してしまうなど、こちらも十分にPCI Expressの性能を引き出しているとはいえない状況だ。ATI、NVIDIAの両者が、より強力なPCI ExpressネイティブのGPUをリリースするのは2004年の後半と見られており、それまでPCI Express x16の本領が発揮できないのがPCI Expressを推進するインテルのつらいところだ。

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