エプソンの新モデル「PX-G920」と「PM-G820」はどこまで進化したのか(1/2 ページ)

» 2004年10月15日 08時00分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]

今年の傾向:セイコーエプソン編

 はじめに、エプソンの新モデル群の全体的な傾向を簡単にまとめておこう。今年は複合機に注力しており、従来の全2モデルから全4モデルへとラインナップが拡充された。この背景には、ベストセラーとなった「PM-A850」が、実はエプソンの予想を大きく上回るヒットだったことと、市場全体で複合機の躍進とシングルファンクション機の落ち込みがはっきりしてきたことがある。

 シングルファンクション機の新モデルはどうかというと、ハード的な進歩は最大印刷解像度が高くなったくらいだ。ラインナップと型番を見ても、従来の構成がほとんどそのまま繰り越された感じである。デザイン的にも変わっていない。その分、付属ソフト類にはかなり手を入れてきた。ドライバの色設計やデフォルト設定をはじめ、印刷ユーティリティ類も従来とは大きく異なっている。エプソン新製品のレビューでは、ドライバやユーティリティ類を全モデル共通の別記事として掲載していく(関連記事参照)。

 また、顔料インクを採用したA3機の「PM-4000PX」と「PX-G5000」(新モデル)、A4機の「PX-G920」(新モデル)は、新しく「カラリオプロセレクション」というカテゴリに分類された。顔料モデルは一定のユーザー層、特にハイアマチュア以上から大きな支持を集めたが、一般コンシューマには染料モデルのほうが好評だった。その大きな理由は、印刷結果の光沢感や発色において、染料モデルのほうが第一印象に優れるからだ。顔料モデルの出力は一見すると地味だが、諧調の表現力や素材色の再現性がよいため、色にこだわるユーザー層に受け入れられた。

 昨年モデルでは、顔料インクの「PX-G900」が苦戦を強いられ(予想以上に売れなかったらしい)、実際に選ばれていたのは染料インクの「PM-G800」や「PM-G700」だ。こうした動向から、顔料モデルを「カラリオプロセレクション」、染料モデルを「カラリオ・プリンタ」と分類することで、対象ユーザー層を明確化したのだろう。ただし、顔料モデルのエントリークラスであるPX-V500(継続モデル)は、カラリオ・プリンタに属している。

A4顔料モデルの最上位「PX-G920」とA4染料モデルの最上位「PM-G820」

 PX-G920は、顔料つよインクの「PX-Gインク」を採用したA4機だ。PX-Gインクの性能は、耐オゾン性が30年、耐光性が80年で、耐水性もある。インクをはじめ、ほとんどのスペックは昨年モデルのPX-G900と同じだ。

PX-G920

 数少ない違いの1つは最大印刷解像度で、PX-G900の2880×1440dpiに対して、PX-G920は5760×1440dpiに向上した。インクは独立タンクの全8色で、内訳はCMYKの基本4色、マットブラック、レッド/ブルー、グロスオプティマイザとなる。グロスオプティマイザは、カラーインクの隙間を埋めて光沢感を出す透明インクだ。

 最小ドロップ量は1.5ピコリットルで、ノズル数はインク各色が180ノズルの合計1440ノズルとなる。インタフェースには、USB2.0 Hi-SpeedとIEEE1394の2系統を持つ。

インクはCMYKの基本4色、マットブラック、レッド/ブルー、グロスオプティマイザの全8色

 PM-G820は、染料つよインクの「PM-Gインク」を採用したA4機だ。PM-G800の後継となり、リビング設置を意識したホワイトの本体カラーが採用された。PM-Gインクは耐オゾン性10年に耐光性20年と、耐久性では顔料のPX-Gインクに及ばず、耐水性もない(印刷物が水に濡れるとインクがにじむ)。

PM-G820

 ハード面の強化点は、やはり最大印刷解像度が高くなったくらいだ。PM-G800は2880×1440dpi、PM-G820は5760×1440dpiとなっている。インクもPM-G800と共通で、CMYKの基本4色、ライトCMという染料の全6色だ。インクタンクは全色独立である。ノズル数は全色180ノズルの合計1080ノズルで、最小ドロップ量は1.5ピコリットルだ。インタフェースはUSB2.0 Hi-Speedの1系統となる。

インクはCMYKの基本4色にライトシアン、ライトマゼンタの全6色

豊富な印刷マテリアルに対応するが、デジカメダイレクト印刷は未サポート

 PX-G920、PM-G820とも、ロール紙、フォトスタンドキット、フォトアルバムキットに対応している。PX-G900にはオプションで「ロール紙オートカッター」が用意されていたが、PX-G920では省略された。カット紙のフチなし印刷が当然となり、ロール紙とオートカッターのニーズが激減したためだろう。

 また、PX-G900やPM-G800が備えていた「オートヘッドクリーニング」と「オートギャップ調整」も省かれている。オートヘッドクリーニングは、インク消費とランニングコストの面でユーザーの評判が悪かったので、妥当な判断だろう。オートギャップ調整は、あれば便利だが、なくても困らない。

 CD/DVDレーベル印刷も可能で、専用トレイによるフロントローディング方式は使いやすく、正確なメディア位置を検出する光学センサーと高精細モード印刷により、きれいなレーベル印刷が行える。

 デジカメ直結の標準規格「PictBridge」や、エプソン独自の「USB DIRECT PRINT」には対応しておらず、メモリカードスロットも持たない。デジカメやメモリカードからのダイレクト印刷ができない点には注意が必要だ。

顔料インクと染料インクの画質を比較

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