今回、インテルから発表されたPentium 4 Extreme Edition(以下Pentium 4 XE)3.46GHzを、従来のPentium 4 XE/3.40GHz(LGA775版)と比較した違いは、次の2点に集約される。
第1に、FSBが800MHzから1066MHz(早い話が1GHz)に引き上げられたことであり、第2にクロックが60MHz(0.06GHz)だけ引き上げられ3.46GHzへと上昇したことだ。
これは、FSBが実クロックで200MHzが266.6MHzへと引き上げられ、倍率が17倍から13倍へと引き下げられたことにより、200MHz×17=3400MHz≒3.4GHzとなっていたのが、266.6MHz×13=3458MHz≒3.46GHzという計算になっているため。クロックが引き上げられたというよりは、倍率の関係で60MHzだけ「あがっちゃった」というのが正しいかもしれない。
なお、組み込まれているCPUコアは、開発コード名でNorthwood 2Mと呼ばれる2MBのL3キャッシュを搭載したバージョンで、12KマイクロOps+8KBデータキャッシュのL1キャッシュと、512KBのL2キャッシュとなっている。
また、Northwood 2Mという開発コードネームからも分かるように130ナノプロセスルールで製造されたこのコアでは、現在のPentium 4で利用されている90ナノプロセスルールのPrescottコアでサポートされるSSE3(Streming SIMD Extentions 3)の新命令セットに対応していないし、64ビットのメモリアドレス拡張となるEM64T(Extended Memory 64 Technology)にも対応していない。
気になる電力周りの仕様だが、従来のPentium 4 XE 3.40GHz(LGA775版)の熱設計消費電力(TDP、Thermal Desgin Power)が109.6ワットであったのに対して、110.7ワットと1.1ワット程度上がっている。クロック周波数が60MHzしか上昇していないので「この程度」ということもできるが、さりとてFSBのクロック周波数が上げられているので、消費電力がもう少しあっても良さそうだから、そういう意味で「この程度」ということもできる。
Pentium 4 Extreme Edition 3.40GHz | Pentium 4 Extreme Edition 3.46GHz | |
VIDレンジ | 1.525〜1.6V | 1.52〜1.6V |
Icc_max | 83.9A | 84.8A |
TDP | 109.6W | 110.7W |
Tcase | 66℃ | 66℃ |
CPUに供給する電力の量を示すIccもPentium 4 XE 3.40GHz(LGA775版)が83.9アンペアだったのに対して、Pentium 4 XE/3.46GHzでは84.8アンペアと若干引き上げられている。マザーボードがCPUに供給する電力量が増えるので、マザーボード側の電力供給機構に対してもより厳しい設計が要求される。
それでは、従来のマザーボードとの互換性が……、という問題が発生しそうだが、FSBが800MHzから1066MHzに引き上げられたため、FSBは800MHzまでしかサポートしていないIntel 925X/915搭載マザーボードでは利用することができない。
Pentium 4 XE/3.46GHzでは「Intel 925XE」というIntel 925XのFSB 1066MHz対応版のチップセットが必須となる。Intel 925XEとIntel 925Xの違いは、純粋にFSBの違いだけで、FSBが1066MHzに対応している以外は、PCI Express x16、DDR2-533に対応など仕様上の違いはない。
Pentium 4 XE/3.46GHzの性能をチェックするために、3種類のベンチマークを利用した。一つはBAPCoのSYSmark2004で、オフィスアプリケーションのテストではOffice Productivityやコンテンツ作成の総合性能であるInternet Contents Creation、そして総合性能(Overall)の性能を計測できる。いわゆる一般的なPCの使い方をするときの総合的な性能をチェックする業界標準のベンチマークテストだ。
二つめはFutureMarkの3DMark05で、3DアプリケーションにおけるCPU性能を示すCPU Scoreの結果を比較してみた。3Dゲームで影響するCPUの性能として参考にしたい。
三つめは同じFutureMarkのPCMark04。CPUやメモリなどのデバイスごとの結果を測れるテストだ。一応、総合性能も出てくるので、その結果も掲載したほか、詳細結果の中からCPU、メモリ、WMVへのトランスコーディング性能を抜き出して比較している。
なお、3DMark05やPCMark04は、FutureMark社のWebサイトからダウンロードして利用できるので、自分のPCとどの程度違いがあるか簡単に調べられるので、皆さんも自分のシステムを測定してみてはいかがだろうか(なお、フル機能を利用するには解除キーを購入する必要がある)。
CPU | Athlon 64/Athlon FX | Pentium 4/Pentium 4 XE |
チップセット | VIA K8T880 PRO | Intel 925XE |
マザーボード | MSI K8T Neo 2 | D925XECV |
メモリ | DDR400 | DDR2-533 |
メモリモジュール | PC3200(2-3-3) | PC2-4300(4-4-4) |
容量 | 1GB | |
ビデオチップ | NVIDIA GeForce FX 5700(425MHz) | NVIDIA GeForce PCX 5750(425MHz) |
ビデオメモリ | 128MB(550MHz) | |
ビデオドライバ | NVIDIA Detonator FX(60.86) | |
標準解像度 | 1024x768ドット、32ビットカラー | |
ハードディスク | WesterDigital WD360 | |
フォーマット | NTFS | |
OS | Windows XP Professional+ServicePack2+DirectX9.0c |
SYSmark2004のOverall(総合性能)は、一般的なPCの使い方における性能の指標となるものだ。ここでトップとなったのは、Athlon 64 FX-55で、2番手となったPentium 4 560(3.6GHz)を1%強上回った。最新のPentium 4 XE 3.46GHzは、Pentium 4 560にも及ばないという結果になった。
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