日本ヒューレット・パッカード(日本HP)のクライアント用デスクトップPCは、マスターブランドをHP、ファミリー名をCompaqとするHP Compaq Business Desktopシリーズと呼ばれる。製品名だけを見ると何やらお堅い印象を受けるかもしれないが、その心配は杞憂だ。むしろ信頼性が重視されるビジネスユースでの使用を前提としているだけに、個人用途でもさまざまな面でメリットが見られる。
堅牢性の高いボディーや安定度の高いシステムはいうまでもなく、メンテナンス性に優れたシャシーデザインに注目したい。ケースカバーはボタン操作だけで着脱でき、ドライバーなどの工具を使わずにドライブや拡張カード、マザーボードまでもが交換可能だ。頻繁にパーツを交換するパワーユーザーに朗報なだけでなく、アップグレード作業や万が一パーツが故障しても修理作業が容易に行なえるのもうれしい。また、標準で1年間はサービスマンによる出張修理(オンサイトサポート)が受けられるほか、3年間はパーツの修理を無償で行なえるのも見逃せない。
HPのデスクトップPCならではのこだわりとして忘れてはならないのは、品質管理の厳しい日本国内で生産を続けていることだ。外資系のPCベンダーだけに意外と思われるかもしれないが、HPは1999年7月より東京郊外にある昭島市の工場でデスクトップPCとワークステーション製品を生産している。これにより、海外からの遠距離輸送による故障が激減するとともに、フルカスタマイズモデルでも、標準で5営業日の納品を実現。初期不良や故障等の発生率を下げることで、サポートコストの削減(=より低価格化が可能)も図っている。
もちろん、低価格という点では、PCの世界シェアでNo.2の位置にあるHPのスケールメリットが働いているのは、改めて指摘するまでもないだろう。
さて、前置きが長くなったが、ミドルタワーから小型なスリムケースまで豊富なラインナップの中から、ここでは性能と省スペース性のバランスに優れたHP Compaq Business Desktop dx6100 ST/CT カスタムメイドTVモデルをレビューしよう。
ベースとなるdx6100 ST/CTは、容積が約12.8リットルとスリムなボディーを採用したデスクトップPCだ。内部のシステムは、インテルの最新プラットフォームである、Intel 915G ExpressチップセットとLGA775のPentium 4プロセッサーという構成を採る。評価機の仕様はクラス標準といえるが、CTOに対応しているので、スペックは注文時に変更が可能だ。カスタムメイドTVモデルは、ハードディスクが容量160G/80Gバイトから選べ、光学ドライブは最大16倍速のDVD±RW(DVD+R DL対応)ドライブという構成をとる。コンパクトなボディーながら、4本のメモリースロットに、PCI Express x16とx1スロットが1本ずつ、そして2本のPCIスロットを備えている。拡張カードはすべてロープロファイルとなるものの、拡張性は必要十分といえるだろう。
本機の見どころは、優れた排熱機構にある。発熱の激しいPrescottコアのプロセッサーを搭載するだけに、プロセッサーの冷却にはヒートパイプを導入したヒートシンクと7cm角のファンを採用。そこにダクトを通じて、ケース前面にある9cm角の吸気ファンから外部の空気が送られ、サウスブリッジやグラフィックスカードなどを冷やしつつ、8cm角の電源ファンで排気がなされる仕組みだ。理にかなった効率的なエアフローといえ、システムに負荷をかけ続けても耳障りなノイズがそれほど発生しない点も評価したい。いうまでもなく、前述のメンテナンス性が良好なシャシーデザインも好印象だ。
以上のように、dx6100 ST/CTはシンプルな構成ながら、高いポテンシャルを備えているのがおわかりいただけただろう。これにサードパーティーの製品を組み合わせることで、独自の魅力を獲得したのが本モデルの真骨頂だ。
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