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» 2005年05月02日 11時00分 公開

グラフィックスカード:D4端子対応でリビングPCへの野望に一歩近づいた──カノープス「MTVGA X800XL」 (1/2)

カノープスの製品に搭載されるGPUが従来のNVIDIAからATIに変更されたのは2004年10月のこと。同社グラフィックスカードのコンセプトも「パフォーマンス」から「クオリティ」にシフトした。RADEON X800XLを搭載したこのカードは、GPUのグレードとともに「D4対応」という映像出力が特徴の、カノープスらしい製品である。

[小林哲雄,ITmedia]

 冒頭からいきなり主張させていただくのだが、「リビングPCの完成形は見えない筐体と大型テレビにあり」というのが筆者の持論。一見してPCとは思えないスタイルとリビングでおなじみの出力機器だけを使ったものが真にリビングで存在しうるPCなのではないか? と思っている。

 リビング向けのデザインとしては、インテルの「Bridge Creek」プラットフォームがその回答の1つとなりそうだが、それでもPCとテレビの接続が問題。現時点でDVI-Dの入力が可能な家庭用大画面ディスプレイは非常に限られている反面、S端子/コンポジットの従来型入力では解像度が圧倒的に不足している。

 高解像度表示への現実的回答はHDTVの入力端子として普及が進んでいるD端子、もしくはコンポーネント端子だろう。どちらもアナログ伝送で、コンポーネントは3つのRCAピン、D端子はコンポーネントに加えて対応能力の伝達も行う。カノープスMTVGA X800XLはこのコンポーネント出力と静音性が魅力のグラフィックスカードだ。

MTVGA X800XLはRADEON X800XLという準ハイエンドクラスのGPUとともに、D4出力端子も併せもつという、実に欲張りな仕様となっている

 MTVGA X800XLのベースとなるのはATIのRADEON X800XLだ。かつて、カノープスの魅力といえば独自設計の基板とチューンされたドライバにあったのだが、MTVGA X800XLの基板そのものはどうやら独自ではなく、共通のものを使っているようだ。ただし、グレードの高いコンデンサを使っていたり、ヒートパイプを併用した大型薄型の銅製ヒートシンクなど、独自の技でそれなりの違いを見せている。

 ちなみにヒートパイプを利用したグラフィックスカードのクーラーユニットというと、ファンレスの製品に代表されるような、表と裏のブロックがヒートパイプで連結されたゴツイものを想像するが、MTVGA X800XLのそれはGPUのヒートシンクとメモリのヒートシンクを結ぶもので、フィンの熱冷却効率を上げるために使われている。

 ファンは70ミリほどある大型のもので、本体に入っている注意書きによれば54℃以下で20%のパワーで動作、54〜60℃だと60%、60℃以上で100%動作ということになっている。ただし、評価機材では、20%動作時に「ユルユルと回転」しているのではなく、ファンが停止していた。パワーマネジメントがより細かくできれば超低速回転も可能だと思うのだが、専用基板ではないのでそのあたりの制御は無理なのだろうか。

 電圧をかけているのに回転しないのはファンにとってもあまりよい状況とは思えないので、確実に回転する速度設定にして欲しかった。ただし、回転制御が入っていることもあって動作音は静かだ。負荷が軽い2D表示の状態ではファンの音がほとんど耳に入ってこない。

クーラーユニットは薄型のもので隣接するスロットに干渉しない。裏面には銅板のヒートシンクが取り付けられている

 リビングに専用のPCディスプレイを置くのはあまりスマートとは思えない。そこで今回の評価ポイントとして「テレビだけでもMTVGA X800XLは実用になるかどうか?」を重点的にチェックするため、PC専用ディスプレイを使わずにOSのセットアップ、そしてPCとして操作できるかどうかチェックしてみた。

 MTVGA X800XLはアナログ15ピン/DVI-I/S端子/コンポジットに加え、D4までに対応したコンポーネント出力を持っている。筆者の手元にはD4対応のWEGA(KD-28HR500)があるので、コンポーネント入力を使って、Windows XPのインストール、通常のWindows操作とムービー再生が可能か確認してみた。

 DVI-Iに接続した変換コネクタではWindowsからでないと表示できないのに対し、MTVGA X800XLはS端子から変換ケーブルを使ってコンポーネント出力を取り出しているためBIOSからでも問題なく表示される。このため、Windows XPのインストールも可能である。

 いわゆる640×480ドットの表示は文字もはっきり読めて問題ないものの、上下が多少切れてしまった。例えばWindows XPのインストールではキーの操作説明が最下行に表示されるが、これが表示されない。だが、BIOS表示すらできないボードがある(カノープスのFAQによればMTVGA 9600XT、同X600P、同9550Lがこれに該当する)ことを考えれば実害なしと言えるだろう。

Windows XPのインストールをおこなったが、最下行はギリギリ見えない

 Windows XP標準のドライバでは不都合が起きるが、MTVGA X800XLのドライバを入れれば800×600ドットの表示も問題ない。その後、ドライバのプロパティでディスプレイの設定を行えばマニュアルに載っている1080i(1920×1080ドット)、720P(1280×720ドット)の表示も行える。

 ただし、PC用ディスプレイとは異なり、テレビの表示はオーバースキャン(表示範囲外にも表示される)の関係で上下左右が切れてしまう。これに対しては1152×648ドットの表示モードが用意されており、これを使えばほぼ画面いっぱいまで利用できる。

 表示された画質に関しては、コンポーネント出力がアナログ伝送であり民生用テレビということもあって、四隅までクッキリというわけではないものの、そもそもPCの画面は1メートル離れて見る、というものでもないので十分な再生画質と考えていい。

 なお、当然ながら1080iのモードではインタレース表示となるので細線がチラツキ、Windowsの操作にはやや問題がある。PCとしては720Pで使用し、動画再生時に1080iに切り替える。あるいはWindowsの操作は別にサブディスプレイを使い、テレビは動画専用にするというのが実用的だろう。

 PCでは通常のビデオファイルとしてDivXで640×480ドットでエンコードされたものを見たが、これも問題ない。FEATHER 2005はいわゆる「10フィートUI」を考慮したデザインとなっているので、PCから離れた場所からでも操作は容易になっている。

1152×648ドットの解像度ならば全画面見える。表示能力も高い

さらに広い1728x964の解像度。インタレース表示になるがインターネットエクスプローラも2画面を無理なく表示できる。右のブラウザは文字サイズを特大にしてある

FEATHER 2005。文字も大きくテレビからの操作も違和感なくできる。別売リモコンを使えば家電感覚で使えるだろう

ドライバが古いのか? 製品版にも関わらずHDコンテンツの再生に難あり

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