北京オリンピックのITインフラは開催に間に合うのか?山谷剛史の「アジアン・アイティー」(1/2 ページ)

» 2006年03月06日 13時11分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

 2008年に北京オリンピック(北京奥林匹克)が幕を開ける。施設の一部が開幕ぎりぎりで竣工したトリノオリンピックだったが、いざ開幕してみると、巨大なメディアセンターに拠点を構えた「各国著名マスメディア」や、メディアセンターからあぶれた「そうでないメディア」から、とりあえず通信環境に関する不満が出てきていないことを考えると、トリノのネットワークインフラはうまく機能していたのだろう。

 では、北京がオリンピックに向けて構築しているIT関連インフラはどんな状況になっているのだろうか。

会場に足を運んでみた……がっ

 北京のオリンピック会場は北京市の北半分に点在することになっている。日本で入手できる中国旅行のガイドブックを読むと「北京は広く、観光には数日を要す」なんてことが書かれていて、実際、点在するオリンピック会場を全部行こうとすると移動だけでかなりの時間を費やすことになる。

 「いくら北京が広いといったって、移動するだけで数日もかからないでしょう」と思うかもしれない。ところが、北京には地下鉄が1号線、2号線、13号線、八通線の4本しか走っておらず、地下鉄の通っていない場所にはバスかタクシーで移動するしかないため、「数日を要す」ということになってしまうのだ。

Google Earthで北京と東京を同縮尺で見てみる。上が北京で下が東京

 その地下鉄だが、北京オリンピック開幕までに4号線、5号線、10号線、オリンピック支線の4路線が開通して全8路線となる予定だ。これでとりあえず北京市の北半分は地下鉄が張り巡らされる予定だそうだ。中国最大の電脳街「中関村」にも地下鉄4号線でいけるようになる。

 中国で報道されているいろいろなニュースをチェックすると「地下鉄で五輪中継が見られるようになり」「古い1号線と2号線には自動改札を設け」「車内で携帯電話が使え」「インターネットも利用できるようになる」とか。余談だが、地下鉄1号線、2号線は相当に古い。これが一気に生まれ変わる「らしい」のだ。

 オリンピック会場で最大の施設がオリンピック公園だ。北京市北部にあり広さはおよそ1200ヘクタール。公園内にある既存の施設を「オリンピックスポーツセンター」(奥林匹克体育中心)として改築し、新たに国家体育館、国家体育場、国家遊泳中心、各国メディアが集う国際会議中心など10の施設を建設する。

 北京市内から地下鉄とバスを乗り継いで、オリンピック会場にゆっくり向かうことにした。

中国のアキバこと中関村

改装前のオリンピックスポーツセンターのスタジアム

北京の地下鉄。現在運用されているのは4路線。これに4路線が新たに追加される計画になっている

 その日のうちにたどり着いた。しかし、まだ建築は一部始まったばかりで、まだ手をつけていないところも多い。とりあえず、オリンピックスポーツセンターを見学しよう。1990年に北京でアジアカップを行なったときに建てられたものだ。すっかり老朽した感がある。それも2008年までに生まれ変わるそうだ。

 ただ、すべてをこれからはじめる、というわけでもない。すでに北京オリンピックオフィシャルサイトが開設されている。こちらでは中国語簡体字以外に英語とフランス語のページもある。中国語ページの地図コンテンツはかなり使える。掲載されている情報量やコンテンツの種類は今のところ中国語ページが多い。日本人なら漢字を見てなんとなく意味が分かるから英語が不得手な人でも中国語ページを見たほうが楽しいだろう。

 重箱の隅をほじくるような話になるが、中国語簡体字のトップページ上部のバーを見ると、英語版とフランス語版にはない「知識産権保護」のページがある。簡単にいうとここには「北京五輪に関連するもの、例えば公式グッズなどを勝手にコピーするべからず」としたためられている。

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