WPSで難しい無線LAN設定にさよなら!?――コレガ「CG-WLBARGPXW-P」“簡単設定”の統一化始まる(1/3 ページ)

» 2007年03月20日 17時15分 公開
[前橋豪,ITmedia]

無線LANのセキュリティ設定は面倒

 昔から無線LANの接続は何やら難しいというイメージがつきまとってきた。これは無線LANの設定には、セキュリティの知識が求められるためだろう。無線LANを導入する場合、セキュリティ対策を施さなければ、電波の盗聴や不正アクセスの危険にさらされることになってしまう。

 無線LANのセキュリティ対策で最も基本的なものと言えば、WEP、WPA、WPA2といった機能だが、これらの設定を行うには、ある程度の知識が必要だ。実際、著者の自宅付近ではいまだに暗号化の設定をしていない所有者不明のアクセスポイントが複数あり、第3者が自由に接続できるような状態になっている。世間一般では、無線LANにおけるセキュリティの重要性が十分に認知されているとは言いがたいだろう。また、無線LANを理解しているユーザーにとっても、SSIDに加えて、暗号化のための長いキーを入力して設定するのは面倒な作業だ。

 もっとも、無線LANの脆弱性や設定の煩雑さはメーカー側も理解しており、暗号化を含む無線LANの設定をできるだけ簡単に行えるようにさまざまな独自機能が開発・提供されてきた。これには、バッファローの「AOSS」、NECアクセステクニカの「らくらく無線スタート」、Atheros Communications(コレガ採用)の「JumpStart」、Windows XP SP2(アイ・オー・データ機器採用)の「Windows Connect Now」などが挙げられる。

AOSS(写真=左)とらくらく無線スタート(写真=中央)は、本体のボタンを押して設定を行う。JumpStartは、クライアント側で初期設定時のパスワードを入力するだけで設定可能だ(写真=右)

 とくにAOSSとらくらく無線スタートは、アクセスポイント側に用意された設定ボタンを押すことで、クライアントとの接続および通信の暗号化が行えるという簡便さから、PCに限らず、PSP、ニンテンドーDS、Wiiのようなゲーム機やAV機器にも採用され、国内では広く普及している。

 しかし、各社が推奨する“簡単設定”の規格は、相互互換性がないことが問題視されてきた。せっかくAOSSやらくらく無線LANスタートに対応した無線LANルータを持っていても、接続する機器がこれらの規格に対応していないため、結局は手動で各種設定を行うという事例は少なくない。著者もAOSS対応の無線LANルータを使っているが、取材用に借りた無線LAN内蔵ノートPCなどを接続するたび、手動で長いキーを入力するはめになっている。らくらく無線LANスタートは、Windows XP SP2搭載の無線LAN内蔵PCでも利用できるため、汎用性は比較的高いのだが、それでも非対応の機種は多く存在する。

簡単設定の標準仕様を目指したWPSが登場

 こうした複数の“簡単設定”規格が乱立する状況下で、無線LANの普及推進団体であるWi-Fi Allianceは、ようやく重い腰を上げた。Wi-Fi Allianceは無線LANの設定や暗号化を簡単にできるようにする仕様「Wi-Fi Protected Setup」(WPS)を策定し、認定プログラムを開始したと2007年1月8日(米国時間)に発表したのだ。

 WPSはまだ認定が始まったばかりの仕様なので、現状で対応機器はほとんどない。また、既存の簡単設定とは互換性がないため、機器の相互互換性という意味で既存の製品と同じ問題を抱えている。しかし、WPSはWi-Fi Allianceお墨付きの仕様ゆえに各メーカーが対応の準備を進めており、今年の半ばには、USBメモリを使用した設定方式や、トークンやカードを機器に近づけるだけでセットアップが可能なNFC(Near-Field Communication:近距離通信)設定方式も追加される予定だ。

1月8日付け(米国時間)でのWPS認定取得済み製品
メーカー 対応製品
Atheros Communications AR5006X 802.11a/b/g Wireless Network Adapter
Atheros Communications AR5002AP-2X Concurrent 802.11a、802.11b/g Dual-band WLAN Access Point
Broadcom BCM94704AGR 54g Dual-band Access Point Reference Design
バッファロー AirStation Wireless-A&G High Power Access Point WHR-HP-AMPGV
バッファロー AirStation Wireless-A&G High Power Notebook Adapter STA:WLI-CB-AMG54
Conexant CX94515 ADSL2+ Gateway
Intel PROSet/Wireless Software Version 11.1
Marvell 802.11a/b/g Wireless USB Client
Marvell TopDog Draft 802.11n Access Point
Ralink Technology RT5201U (802.11a/b/g USB) / Packet Overdrive

 WPSでは、2つの設定方式が用意されている。1つめはプッシュボタン方式、2つめはPIN(Personal Identification Number:個人暗証番号)方式だ。前者はアクセスポイント(もしくは接続したい機器)に搭載されたボタンを押すことで認証と登録を行う方式、後者は個々のネットワーク機器に割り振ったPIN(個人暗証番号)を登録管理機器(レジストラ)に入力することで相互認証と登録を行う方式となっている。

WPSには、本体のボタンを押して設定するプッシュボタン方式(写真=左)と、8桁の個人暗証番号を入力するPIN方式(写真=右)がある

 ここでは国内で発表された無線LANルータの中で、初めてWPSベースのプッシュボタン方式とPIN方式による設定方法を採用したコレガの無線LANルータ「CG-WLBARGPXW-P」を使って、WPSの設定手順をチェックしよう。

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