いま、XPを選ぶ「通」も注目の省スペースPC──デル「Dimension 9200C」ダイレクトPC最前線(1/2 ページ)

» 2007年06月11日 16時30分 公開
[兼子忍,ITmedia]

VistaもXPも選べるパッケージを用意

Dimension 9200C

 Dimension 9200Cは、容積が約10.8リットルとデルの個人向けデスクトップPCの中で最も省スペースなボディに、パワフルな基本スペックを詰め込めるモデルだ。メーカー製PCがWindows Vista搭載モデルへの移行を完了した中で、最新スペックのPCとWindows XPの組み合わせが可能と、直販メーカーらしい豊富なBTOメニューが目を引く。

 今回取りあげるのは、OSにWindows XPを搭載した「Windows XP搭載プレミアムパッケージ」だ。BTOではWindows XP ProfessionalまたはWindows XP Media Center Edition 2005 with Update Rollup 2のいずれかを選択でき、VistaではUltimate/Business/Home Premium(いずれも32ビット版)が選べる。

 Windows XPは発売から約6年が経過した“古い”OSだが、2回の大型アップデートを含む数々の手を加えることで安定した動作環境を得られるというメリットがある。今後はWindows Vista対応/専用アプリケーションが増えていくことは間違いないが、現状ではVista未対応のソフトウェアもまだまだ多く、過去の資産からの継承という点でもXPは十分に現役のOSと言える。

 評価機は前述のパッケージをベースに、CPUとグラフィックス機能を強化した構成となっていた。具体的には、CPUを選択肢の中では上から2番めのCore 2 Duo E6300(1.83GHz)にし、コンパクトながらメインマシンとしても軽快に使えるパワーを獲得した。また、グラフィックス機能をIntel G965 Expressチップセット内蔵ではなく、ロープロファイル仕様のATI Radeon X1300 Pro搭載カードに変更することで、ライトゲーマーの要求にも応えられる3Dグラフィックス性能を達成している。

 メモリは標準構成の2Gバイト(1Gバイト×2)を搭載するが、最大で4Gバイト(1Gバイト×4)までの増量が可能だ。Serial ATAのHDDは500G/320G/250Gバイトからの選択で、評価機には500Gバイトのドライブが入っていた。ただ、本パッケージは液晶ディスプレイを省いたPC本体のみの構成が選べず、手持ちのディスプレイを使いまわしたい買い替えユーザーが本パッケージを購入する際はディスプレイの重複が避けられないが、これを機に安価なディスプレイを選んでデュアルディスプレイ環境を構築してみるのも面白い。今回は、1680×1050ドット(WSXGA+)対応の20.1インチワイド液晶ディスプレイ「E207WFP」をセットにしている(E207WFPの記事はこちらを参照してほしい──デルのHDCP対応20.1インチワイド液晶ディスプレイ「E207WFP」を試す)。

 ちなみに、ATI Radeon X1300 Pro搭載カードは専用の出力端子を備えており、付属の分岐ケーブルを使うことでDVI-I×2またはアナログRGB×2の同時出力が行える。デュアルディスプレイ環境を目指すならば、購入時に必ず本カードを選択しておきたい。

LGA775パッケージのCPUとDDR2メモリを採用する(写真=左)。評価機にはSerial ATA変換ボードに接続されたスリムタイプのDVD+R DL対応DVD±RWドライブと、3.5インチのSerial ATA HDD(写真=右)が搭載されていた
BTOでは、256Mバイトのグラフィックスメモリと専用のデジタル出力端子を備えたATI Radeon X1300のグラフィックスカード(写真=左)が選べる。付属の専用ケーブルを使うことで、DVI-I×2またはアナログRGB×2の同時出力が可能だ(写真=右)

小型ボディゆえ拡張性は限られるが、メンテナンス性は良好

Intel G965 Expressチップセットを搭載したnanoBTX仕様のマザーボード。小型ながら4本のメモリスロットを備えている

 側面を光沢感のある白、天面と前面を銀という清潔感のあるカラーにまとめたボディは、前面下部の吸気口から取り込んだ外気でCPUやチップセット、HDDなどの主要パーツを冷却するBTXフォームファクタを採用する。BTXは前面から後方に向かって一直線の気流を生み出すことで、少ないファンでも十分な冷却性能を得ることを目的としたシステムだが、本機は省スペースボディの制約上、大口径の冷却ファンを搭載できず(それでも8センチ角のファンを搭載)、内部に所狭しとパーツを実装することから、ファンの動作音は同じくBTXフォームファクタを採用した同社のミドルタワーPCに比べ少々うるさく感じられた。とはいえ、94(幅)×365(奥行き)×315(高さ)ミリのコンパクトなボディは何よりの魅力だろう。

 ユニークなのは、前面のコネクタと光学ドライブが跳ね上げ式のカバーで覆われていることだ。このカバーは、前面中央のボタンを押すとバネの力で上方にスライドする構造で、中にはスリムタイプの光学ドライブとメモリカードスロット(またはFDD)、3基のUSB 2.0、6ピンのIEEE1394、そしてサウンド端子が用意されている。カバーは天面に沿う形で開閉するので、見栄えを気にしなければ開放した状態でもカバーがじゃまになることはない。

ドライブや拡張カードはワンタッチで着脱可能だ

 ケース内部はパーツがぎっしりと詰まっていて、一見するとメンテナンス性は悪そうだが、同社おなじみの機構を導入することで大半のパーツをレバー操作だけで着脱可能だ。具体的には、スリムタイプの光学ドライブとHDD、そして拡張カードも工具を使わずにワンタッチで取り外せるため、メモリの増設や万が一の故障時も迅速にパーツの交換が行える。

 さすがにドライブベイは3.5インチHDD用とFDD/メモリカードスロット、スリム光学ドライブのみだが、メモリスロットは4基、PCI Express x16とPCI Express x1が1基ずつと拡張性も確保されている。装着できる拡張カードはロープロファイルに限定されるものの、このクラスの国内の大手PCメーカー製モデルの多くはメモリスロットが2本で、グラフィックスカードの拡張も困難なため、その点は高く評価したい。

 なお、背面には6基のUSB 2.0と角形の光デジタル出力を含むサウンド端子のほか、100BASE-TX/10BASE-Tの有線LANとV.92対応のFAXモデム、6ピンのIEEE1394端子が並んでおり、省スペース型のボディとはいえ外付けの周辺機器を接続する際に拡張性不足に悩まされることはないだろう。

前面のカバーを開けたところ(写真=左)。ケース内部は余分なスペースがないほどパーツが詰まっているが、各パーツは工具を使わずに着脱できるのでメンテナンス性は良好だ(写真=中央)。電源ユニットは275ワットで、内部に8センチ角の排気ファンを内蔵している。なお、側面のカバーは天面のレバーを引くだけで取り外せるため、ケース内部には簡単にアクセス可能だ。

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